社説:政府の物価高対策 生活支援、問われる効果

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 政府は物価高騰に対応する緊急対策を決定した。低所得世帯向けの給付金やガソリン価格を抑える補助金の拡充が柱だ。暮らしを守るために効果のある支援策なのか。政策の内容が問われる。

 ガソリンなどの燃油や原材料の価格は世界的に上昇。そこにロシアのウクライナ侵攻が拍車をかけた。総務省が発表する全国消費者物価指数は7カ月連続で前年を上回り、光熱費や食品は値上がりが顕著だ。

 国民生活に広く影響が及んでおり、とりわけ社会的に弱い立場にある人にしわ寄せが生じている。政府が緊急対策を講じるのは当然だろう。

 岸田文雄首相は記者会見で「国民生活を守り抜く」と強調した。国会論戦を通じ、対策の効果を見極めていかなければならない。

 対策の柱となる低所得世帯向けの給付金は、子ども1人当たり5万円を早ければ6月から支給する。低所得のひとり親世帯と住民税非課税の子育て世帯を対象とする。

 新型コロナウイルスの流行後、政府は現金を給付する政策を繰り返してきた。昨年秋の岸田政権発足後には、年収960万円の所得制限を設け、18歳以下の子どもを対象に10万円相当を支給した。給付の目的や所得制限の線引きの根拠が分かりづらく、効果を疑問視する見方もあった。

 緊急対策の給付金を巡っては、年金生活者らへの5千円支給案が一時浮上した。夏の参院選に向けた「ばらまき」と批判を浴び、白紙に戻った経緯がある。低所得世帯に対象を絞ったのは、国民の理解を得られやすいと判断したからだろう。

 ガソリンなどの燃油価格を抑えるために石油元売り会社に支給している補助金は継続する。当初は3月までの予定だったが、9月まで延長する方針だ。補助金の上限額は現在の1リットル当たり25円から35円に引き上げる。目標とするガソリン価格も見直し、実質的な値下げを図る。

 ただ、補助金は1カ月で約3千億円に上り、財政負担が大きい。価格の高止まりを受けて延長されてきたが、政府は当初、「時限的な激変緩和措置」と位置付けていた。いつまでも続けることは難しいだろう。

 緊急対策には、総額で6兆2千億円投じる。補正予算編成などで対応するほか、確保済みの予備費から1兆5千億円を充てる。予備費の大半は新型コロナ対策予備費から拠出するといい、直接的なコロナ対策以外に使途を広げることになる。

 予備費は、国会の審議を経ずに政府の判断で使い道を決めることができる。迅速に使える利点があるが、あくまで緊急時に限るのが筋だ。

 使途を拡大すれば、巨額の支出を野放図に認めることになりかねない。予備費の活用の在り方についても、しっかり議論していくべきだ。

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