北斗星(4月28日付)

 まだ3歳の女の子の死亡が確認された。それだけでも痛ましいのに、一緒にいた両親は行方不明のまま。一人で安置されている女の子と対面した祖父母の心痛はいかばかりだろう。北海道・知床半島沖で26人が乗った観光船が遭難してからきょうで6日目となる

▼11人が亡くなり、15人の捜索が続く。船上でプロポーズ予定だったカップルや、障害者を雇用してキノコを栽培する会社の事業所長など道内外の客が乗り合わせていた。楽しいひとときとなるはずの航海が暗転した

▼出航時は波浪注意報が出され、次第に波が高くなるとの予報もあった。地元漁師は出漁を見合わせていた。船長は複数の知人に「やめておけ」と注意された。なぜ船を出したのか。不明者の捜索とともに、事故の原因究明が急がれる

▼運航会社の社長はきのう、乗客の家族らへの説明会を開き、初めて記者会見した。「船長から出航可能と報告があった。引き返すのは船長の判断だ」などと、船長に責任を転嫁するような発言もあった。運航体制や安全管理の検証が欠かせない

▼あすから大型連休。期間中、コロナ禍で緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が出ていないのは3年ぶりだ。苦境にある全国の観光関係者は、久々のにぎわいへの期待を高めている

▼本県の海上で遊覧船を運航する男鹿市の2業者に、関係機関は安全指導を行った。大自然の中では、ちょっとした油断が重大な結果につながり得る。安全第一をいま一度、徹底したい。

お気に入りに登録
シェアする

秋田の最新ニュース