社説:食品ロス削減 一人一人が意識改革を

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 まだ食べられるのに捨てられてしまう「食品ロス」が問題となっている。県の推計によると、2019年度に県内家庭から発生した量は3・6万トン。1人1日当たり103・2グラムで、おにぎり1個分に相当する。全国平均(59・8グラム)の1・7倍超という現実を重く受け止め、県民は意識を改革していく必要がある。

 食品ロスは食べ残しや売れ残り、期限切れなどで生じる。家庭から出る「家庭系食品ロス」と食品関連事業者が出す「事業系食品ロス」に分けられる。国内の発生量は年間計約570万トンと推計される。

 県内の家庭系では食べ残しや手つかずの食品が大部分を占める。家庭菜園で取れ過ぎた野菜の廃棄もある。事業系の発生量は2・2万トン(18年度)。外食産業が半数に上る。

 昨年7月の県民意識調査によると、食品ロスが問題になっていることを知っているとの回答が9割に上った。ただ、削減に向けた取り組みの実施率は高くない。「料理の際に端材を出さない。できるだけ活用する」(30・1%)、「お買い得商品などの衝動買いに注意する」(29・6%)、「商品棚の手前にある賞味期限や消費期限の近い商品を買う」(15・1%)などだった。食品ロス問題を認識していても、行動に結び付いていない状況が浮かび上がる。

 来客を満足させるために、食べ切れないほどの料理をテーブルに並べることを好む―。県内の生産者や消費者、食品製造業者などでつくる「県食品ロス削減推進協議会」からは、こうした「おもてなし」を重んじる地域性が食品ロス問題の一因ではないかとの指摘も出ている。

 自らの行動が食品ロスを招いていないか。まずは身近な問題として考えることが大切だ。

 県は今年3月、「食品ロス削減推進計画」(22~30年度)を策定。1人1日当たりの家庭系の発生量80グラム、事業系の発生量年間1・8万トンの数値目標を掲げた。動画や交流サイト(SNS)では「買い物リストを作る」「食べ切れる量を作る」といった具体策を紹介している。

 廃棄した食品の種類や量、廃棄理由を記入し、買い物や在庫管理などに役立てる「食品ロスダイアリー」なども活用しながら目標を達成したい。

 その上で、家庭系の数値目標を全国平均以下に再設定する必要がある。学校での食育活動、フードバンクや子ども食堂で未利用食品を有効活用するための仕組みの構築などを進め、食品を無駄にしないという機運を醸成することが欠かせない。

 世界には栄養不足状態にある人たちが数多くいる。一方、日本は食料の多くを輸入に頼りながら大量の食品を廃棄している。国連が定めた「持続可能な開発目標(SDGs)」でも食品ロスは重要な課題。一人一人が「もったいない」の気持ちで削減に取り組む必要がある。

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