社説:[2022参院選]物価高対策 生活守る議論、活発化を

 買い物や給油をするたびに、食品やガソリンの値上がりを痛感する方もおられよう。日々の暮らしに欠かせない物品は節約が容易ではない。物価高対策が参院選の最大の争点といわれるのは当然のことだ。

 石油・ガスや小麦などの値上がりは昨年から続く。そこにロシアのウクライナ侵攻と約24年ぶりの水準に達した急激な円安が追い打ちをかけている。

 生鮮食品を除く4月の全国の消費者物価指数は前年同月比2・1%上昇。5月の東京都区部の指数が同1・9%上昇だったことから、きょう発表が予定される5月の全国指数も同程度の上昇が予想される。実質賃金が上がらない中での物価高であり家計への負担は深刻だ。

 政府は4月に物価高騰への緊急対策をまとめている。ただガソリンなど燃油価格抑制は今年1月発動の石油元売りへの補助金の継続。子育て世帯を対象にした生活困窮者支援は1度限りの給付だ。物価高の長期化が避けられない見通しの中、不安を解消できる対策とは言い難い。

 野党は「対策が不十分」と訴え、物価高を積極的に争点化したい狙いだ。自民党は「ロシアのウクライナ侵攻による世界規模の物価高騰」と外的要因を強調して防戦に努める。

 立憲民主党は物価高を「岸田インフレ」と呼び対決姿勢を強めている。同党を含む野党はいずれも消費税の減税や廃止を主張。ただ年金など社会保障の財源となる税収を減じる影響が大きい。再増税の難しさなどを思えば現実的なのだろうか。

 賃金増については各党が公約に盛り込む。野党には最低賃金「時給1500円」目標も目立つ。少々の物価上昇に家計が動じないように、賃上げ実現は困難があっても優先すべき物価高対策といえるかもしれない。

 岸田文雄首相が当初掲げた「所得倍増」はいつの間にか「資産所得倍増」に変容している。所得を金融資産の運用所得にしたのはすり替え以外の何物でもないだろう。

 政府は参院選公示直前に電気料金の負担軽減策、食料価格に響く肥料の値上がり緩和策を打ち出した。電気料金の負担軽減は節電をした家庭にポイントを付与する制度。「お得」な制度で有権者の人気を得ようとする思惑が見え透いている。

 広範な国民の家計への負担軽減策だとしても、広くばらまけば解決するというものではない。忘れてならないのは困窮する家庭に必要な支援をしっかりと届けること。そして支援や補助は生活を守るために欠かせないものに限定すべきだ。

 海外で起きた戦火によって、現在のようなエネルギーや食品の価格上昇を招くことのない自給体制を構築できないか。過度の円安を招くことのない金融政策の在り方も検討しなくてはならない。各党には国民の暮らしを守る視点から、参院選で議論を戦わせてもらいたい。

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