社説:[2022参院選]コロナ対策 従来の反省点明らかに

 新型コロナウイルスの流行が国内で始まって約2年半になる。この間、医療提供体制の逼迫(ひっぱく)などが繰り返され、政府対応は「後手」と批判を浴びてきた。

 参院選で各党、候補者は従来の新型コロナ対策の問題点をしっかり論じてほしい。その上で今後あるべき保健・医療体制や、コロナ対策と社会経済活動を両立させる方策を示すべきだ。

 日本で初の感染者が確認されたのは2020年1月。政府は当初、イベント自粛や小中高校の一斉休校などを要請。その後、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置を出し対応してきた。

 飲食店の営業制限などで繁華街の人出は激減。旅行など人の移動は大幅に制約された。特に昨夏の流行「第5波」では医療現場が患者を受け入れられず、自宅療養中に容体が急変して亡くなる例が相次いだ。

 現在は、3回目のワクチン接種が進んだ効果などもあって感染状況は落ち着きを見せ、社会経済活動との両立に向けた動きが進んでいる。しかし今後、新たな変異株が現れるなどして、また感染拡大の局面を迎える懸念もある。そんな場合にも医療逼迫を招かない体制づくりが最大の課題といえる。

 岸田文雄首相は、政府が実施してきたコロナ対策の検証を踏まえ、新たな司令塔組織である「内閣感染症危機管理庁」や、米疾病対策センター(CDC)をモデルとする「日本版CDC」創設の方針を打ち出した。また、病床や人材といった医療資源を迅速に確保するため、感染症法を改正して国や都道府県の権限を強化するという。

 これらの方針の根拠となった有識者会議の検証作業は今年5月中旬からわずか1カ月間だった。参院選に間に合わせるための「突貫工事」の感は拭えない。有識者会議の座長も、検証が十分でない部分もあることを認めている。

 感染拡大当初の一斉休校や感染拡大が収まらない中での観光支援事業「Go To トラベル」の開始など、賛否が分かれた政策の妥当性には踏み込まなかった。専門家組織の提言が政策にどう生かされたかという点も含め、政府の意思決定過程の不透明さは残されたままと言わざるを得ない。

 違う対策を講じていれば感染者数を減らし、経済活動を維持できたかもしれない。うまくいかなかった事例をこそしっかり検証し、改善すべき点は改善することが教訓を生かすことになるはずだ。

 コロナ対策を巡り、立憲民主党は重症化リスクが高い人が確実に医療を受けられる「新型コロナかかりつけ医」制度創設、日本維新の会は感染症法上のコロナの取り扱いを季節性インフルエンザと同じ5類に変更することなどを公約に掲げる。与野党は公約を訴えると同時に、論戦を通じてこれまでの対策の反省点を明らかにし、今後に生かす道を示してほしい。

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