北斗星(6月27日付)

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 「東京へはもう何度も行きましたね」。フォークグループ「マイ・ペース」のボーカル森田貢(みつぎ)さんの訃報に接し、懐かしい歌が思い出された。享年68。デビュー曲の「東京」は1974年10月発売、翌年にかけて大ヒットした

▼東京は「美し都」「花の都」と歌われた。初めて聞いたのは上京したこともない中学生の頃。この歌によって東京に憧れた一人かもしれない

▼同年12月の本紙がデビュー間もない森田さん、フルート伊藤進さん、ギター根次男さんの3人を紹介した。現在の潟上市出身で羽城中時代の同級生。いずれも肩まで届く長髪だった

▼「放送禁止歌」で知られる同郷のフォーク歌手山平和彦さん(故人)のバックバンドとしてグループを結成。デビューまで山平さんと一緒に名古屋を拠点に活動していた。「東京」は作詞作曲した森田さんが東京に住む女性と遠距離恋愛していた体験から生まれた

▼デビューの数年後に活動休止。2010年に再結成し、音楽と3人のトークを収録したCDを発売した。トークではメンバーの一人が「時速20キロで田舎道を走っていたのが高速道路を100キロで走り出した」とデビュー時を振り返っている。再結成後は本県をはじめ各地でライブ活動を展開してきた

▼高度成長期以降、東京は数多くの若者を地方から引き寄せ続けた。一方で近年は感染症流行や自然災害時の大都市の脆弱(ぜいじゃく)さも指摘される。「東京」の響きが半世紀前とは同じではないと改めて気付かされる。