社説:県内初スマホ助成 高齢者、情報格差解消を

 由利本荘市は本年度、市内の65歳以上の高齢者を対象にスマートフォンの新規購入費助成を行っている。市は行政のデジタル化を進めており、保有率が低い年代へのスマホ普及を促すことで世代間の情報格差を減らす狙いがある。

 社会のデジタル化の一方で機器操作に不慣れな「デジタル弱者」が取り残されることが問題になっている。各種手続きのオンライン化や行政・災害情報の迅速な伝達などのサービスを、より多くの市民が受けられるようになることを期待したい。

 新型コロナウイルスの感染拡大以降、人との接触機会をできるだけ減らそうと、さまざまな場でデジタル化が進められている。市のスマホ助成もコロナ対策の一面がある。

 財源にはコロナ対策として自治体に配分される国の地方創生臨時交付金を充てる。臨時交付金を活用した同様の事業は県内では初。成果が注目される。

 4月1日から来年1月31日までの期間、マイナンバーカード対応のスマホを市指定の市内3店舗で購入した高齢者が対象。スマホ本体の代金を1人1台まで最大2万円助成する。

 家族の名前で契約していても、使用者本人が65歳以上なら対象となる。ただし本人が申請しなければならない。200人分の400万円を予算措置し、今月から受け付けを始めた。

 あらかじめマイナカードを取得していることが条件。「ガラケー」と呼ばれる従来型携帯電話からの切り替えも可能で「スマホデビュー」を後押しする。

 助成を受ける高齢者は購入先の店で操作について説明を受けるか、県や市主催のスマホ教室を受講することも求められている。不慣れな高齢者がスマホを操作できるようになるには、使い慣れた家族や近隣住民らのサポートも欠かせない。有効に活用されるよう官民が協力して高齢者支援に努めることが必要だ。スマホを悪用した特殊詐欺への注意喚起も欠かせない。

 国による全国調査によると、高齢になるほどスマホの保有率は低くなる。利用しない理由としては「自分の生活には必要ないと思っている」と答えた高齢者が多かった。高齢者による利用促進を図るには、自宅に居ながらできる各種電子申請、キャッシュレス決済などを体験してもらい、スマホの便利さを実感してもらうことも重要だ。

 由利本荘市は市内約600店でスマホによるキャッシュレス決済をした際、購入額の30%をポイント還元する事業を実施している。こうした事業を拡大、継続し、高齢者のスマホ普及につなげられないだろうか。

 由利本荘市は面積が県内市町村で最も広く、県の1割を占める。人口減少に伴い市の組織も縮小傾向にある中、広い区域にいかにして行政サービスを行き渡らせるかは大きな課題だ。今回の事業を手始めにデジタル行政の先進事例となってほしい。

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