社説:[2022参院選]与党過半数 国民生活安定に全力を

 参院選で自民、公明の連立与党が過半数の議席を獲得した。同様に過半数を制している衆院の解散・総選挙がない限り、今後3年間、全国規模の国政選挙はない。岸田文雄首相は安定した政権基盤を得たと言える。

 参院選公示が近づく中で争点として浮上したのが食料品やエネルギーなどの物価高騰対策だった。また電力需要が高まる夏、冬の電力供給の逼迫(ひっぱく)が懸念され、新型コロナウイルスが感染再拡大の傾向を見せている。岸田政権には山積する課題への対策を急ぎ、国民生活の安定を図ることが求められる。

 物価高騰の背景には、ロシアによるウクライナ侵攻に伴う原油や小麦の価格上昇がある。政府は石油元売り大手への補助金などの対策を進めるが、物価高は幅広い商品、サービスに及ぶ。さらなる対策が不可欠だ。

 欧米の中央銀行は物価抑制のため利上げに動いている。一方、日銀は大規模な金融緩和策を継続する。日本の金利が欧米と比べて低く抑えられていることが円安の要因となり、物価上昇につながっている面もある。

 金融緩和継続の是非なども含め、選挙戦で物価高対策の議論が深まらなかったのは残念だ。今後、国会の場で徹底した議論が行われ、早急に対策が打ち出されることを期待したい。

 全国の投票率は48・80%だった前回の参院選を上回ったとみられる。だが低下傾向に歯止めがかかったとまでは言い難い。

 多くの有権者が投票所に足を運ばなかった事実を、各党は重く受け止めるべきだ。国民が信頼し、期待を託せる確かな政策づくりと政治の在り方に向けて何が足りないのか、しっかり検証し改善策を検討してほしい。

 憲法改正に前向きな「改憲勢力」は国会発議に必要な3分の2以上の議席を維持した。改憲勢力は自公両党と日本維新の会、国民民主党などからなる。自民、維新は憲法9条に自衛隊を明記する点で一致するが、4党の主張は異なる点も多い。合意形成には時間がかかるだろう。

 有権者が改憲支持の意思を示したと考えるのは早計だ。先月末の共同通信社の世論調査では、岸田首相の下での憲法改正に「賛成」44・8%、「反対」44・7%と賛否が拮抗(きっこう)した。国会の場で慎重に議論を尽くすことが必要だ。

 立憲民主党は改選議席数を割り込み後退した。泉健太代表は政策提案型路線を掲げたが対立軸づくりに苦慮。勝敗を左右する32の1人区で野党共闘が進まなかった影響も否めない。維新、国民が改憲勢力に加わる中、野党第1党として今後の野党連携をいかに主導していくかが問われる。

 選挙戦最終盤に安倍晋三元首相が奈良市で応援演説中に銃撃され、死去した。各党は与野党の立場を超え、暴力による言論封殺に屈しないと訴えた。国会の場で自由な言論に基づく民主主義の真価を発揮してほしい。

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