北斗星(7月29日付)

 「深い孤独がなければ、まともな作品はつくれない」とは、20世紀美術の巨匠パブロ・ピカソの言葉。創作には自らと向き合い、考え、判断することが大切ということだろう

▼この人の作品を見るたび、その瞬間を1人で待ち続ける苦労を想像する。本紙で「山々の輝き」を連載中の写真家大川清一さん(59)=美郷町。高校卒業後、陸上自衛隊に入り、除隊後はプロボクサーとしてリングに立ったこともある異色の経歴を持つ

▼登山は全て単独行。撮影技術も独学で身に付けた。まさに孤独から生み出された作品。秒速40メートルを超える猛吹雪にさらされながら、避難小屋を拠点に冬山で1週間とどまったこともある。1枚に懸ける思いに圧倒される

▼「決め手は自分が納得できるかどうか。過酷で厳しい環境の先にこそ一生に一度と思えるような景色が現れる」。撮影に取り組む姿勢は元ボクサーらしくストイックだ。喜びはほんの一瞬。その瞬間をもう一度味わいたくて今まで続けてきたとも

▼写真家の原点は鳥海山登山。心を動かされた景色を誰かに伝えたいと、カメラを手にした。鳥海山の山頂を踏んだのは219回を数える。その中の1枚が専門誌「山と渓谷」の最新8月号でグラフを飾った。妥協なき作品の数々が多くの人を魅了し続けている

▼写真家生活30年の節目に際し、あすから地元の美郷町学友館で、県内では初めてとなる個展を開く。作品を生んだ孤独に思いをはせると、見え方が変わるかもしれない。

お気に入りに登録
シェアする

秋田魁新報(紙の新聞)は購読中ですか

紙の新聞を購読中です

秋田魁新報を定期購読中なら、新聞併読コース(新聞購読料+月額330円)がお得です。

新聞は購読していません

購読してなくてもウェブコースに登録すると、記事を読むことができます。

秋田の最新ニュース