【東京舞台さんぽ】「怪談乳房榎」 高島平ゆかりの砲術家も、板橋・松月院

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「こぶけやき」のこぶ=東京都板橋区
「こぶけやき」のこぶ=東京都板橋区

 歌舞伎の演目としてもおなじみの落語「怪談乳房榎」は、幕末から明治にかけて活躍した落語家初代三遊亭円朝が創作した怪談ばなし。落語の舞台の一つである、東京都板橋区赤塚の松月院を訪ねた。(共同通信=近藤誠)

 絵師である父菱川重信を弟子の磯貝浪江に殺された赤ん坊の真与太郎は、使用人正介に連れられて赤塚に逃れる。松月院境内には乳房の形をしたこぶのあるエノキがあり、こぶからしたたるしずくを乳代わりに成長した真与太郎が、見事にあだ討ちを遂げるストーリーだ。

 モデルになったとされる木は何本かあり、松月院近くにある「こぶけやき」もそのうちの一つ。赤塚地域に、こぶを乳房に見立てて乳の出が良くなることを祈願する民間信仰があったことから、「乳ノ木様」とも呼ばれている。

 幹から大きく張り出したこぶや立派な枝ぶりが、名人円朝のイマジネーションを刺激したのかもしれない。

 松月院は、1841年に徳丸原(現在の板橋区高島平)で日本初の洋式砲術訓練が行われた際に、本陣が置かれた場所でもある。長崎町年寄であった高島秋帆は、オランダ人に西洋式砲術を学び、幕府に軍備の近代化を説いた。境内には、大砲の砲身をかたどった顕彰碑がある。

 2021年のNHK大河ドラマ「青天を衝け」で、玉木宏さんが秋帆を演じて話題に。松月院の松宝閣(寺宝館)には、肖像画や愛用の脇差しのほか、秋帆の書なども展示されている。

 高島平の地名は、高島秋帆の名前にちなんだもの。高度成長期には日本住宅公団(現・都市再生機構)が、国内最大級の高島平団地として開発した。ゆったりとした敷地には、中高層の住宅が整然と立ち並んでいる。

 【メモ】松月院松宝閣の開館日は土、日、祝日。入館料は一般500円で事前に予約が必要。電話、03(3930)0004。

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