【高橋弘の巨樹巡礼 15回続きの8】静岡県熱海市のクスノキ 本州最大の樹木

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来宮神社の大クス=2010年11月、静岡県熱海市
来宮神社の大クス=2010年11月、静岡県熱海市

 幹周5メートル以上の木を「巨樹」と呼ぶ。巨樹になる樹種の多様さが世界有数の日本には、数多くの巨樹が存在し、人々の心のよりどころになってきた。巨樹写真家の高橋弘さんが、全国の会いに行ける巨樹を紹介する。

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 静岡県熱海市にあるJR来宮駅の北側に見える、こんもりとした鎮守の森の主が、国の天然記念物「来宮神社の大クス」である。東海道新幹線や東海道線に乗っていても一瞬ではあるが、眺めることができる。

 環境省「巨樹・巨木林データベース」に1988年、全国2位の大きさ(主幹)の巨樹として報告されたクスノキ。1位は鹿児島県姶良市の「蒲生の大クス」だから、本州では最も大きな樹木ということになる。途中から二つに分かれて成長しているが、1本の木とされる。

 東側の幹は樹勢も旺盛で、樹高も高くいまだ若々しい姿を保っている。樹皮に刻み込まれたしわは、推定樹齢2千年を証明するかのように歴史を感じさせ、竜やヒトの顔に見えると言う人もいる。

 かつては周辺に7本の大クスがあったが、現在ではこの御神木の大クスと、参道の途中にある第2大クスが残るばかり。7本もの大クスが林立する境内は異次元であり、想像すらできないが、現代まで残っていたならば、間違いなく日本の宝として、誰もが知るスポットとなったであろう。

 この大クス、近年ではパワースポットとしても知られるようになり、多くの参拝客でにぎわっている。心に願い事を秘めつつ、巨大な幹を一周すると、寿命が1年延びると言われ、周囲を巡る人が後を絶たない。

 近年、大クスまでの道が改められ、草木のトンネルを抜けて、向かうこととなった。夕方から夜には、ライトアップが行われ、幻想的な世界に身を置くこともできる。(巨樹写真家)

 【データ】幹周23・9メートル、樹高約26メートル。(来宮神社発表)

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 たかはし・ひろし 1960年山形県生まれ。88年より巨樹の撮影を始め、これまでに日本全国3千本以上を収めた。東京都奥多摩町の日原(にっぱら)森林館で解説員を務め、環境省の「巨樹・巨木林データベース」の管理も行う。近著に「千年の命 巨樹・巨木を巡る」など。

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