【高橋弘の巨樹巡礼 15回続きの9】三重県鈴鹿市のマツ 全国最大クラス、優美な姿

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地蔵大マツ=2008年7月、三重県鈴鹿市
地蔵大マツ=2008年7月、三重県鈴鹿市

 幹周5メートル以上の木を「巨樹」と呼ぶ。巨樹になる樹種の多様さが世界有数の日本には、数多くの巨樹が存在し、人々の心のよりどころになってきた。巨樹写真家の高橋弘さんが、全国の会いに行ける巨樹を紹介する。

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 全国で猛威を振るうマツ枯れ病(マツ材線虫病)により、名だたるマツが次々とこの世から消え去った。伝染病がまだまん延していない東北北部にしか太いマツは残ってないものと考えられていたが、三重県鈴鹿市に全国最大クラスの「地蔵大マツ」が生き延びていた。しかも住宅地のど真ん中に、大きく枝を広げた優美な姿で。

 純粋なクロマツではなく、クロマツとアイグロマツが成長過程で融合した合体木とされている。

 飛鳥時代、蘇我氏が物部氏を滅ぼした後、仏教以外の礼拝を禁止したため、地蔵菩薩を信仰していた地域の住民は地蔵像を近くの堀に沈めて隠し、目印にこのマツを植えたと伝えられる。伝承の樹齢は1400年だが、実際には樹齢は200年と推定されている。

 幹は重量感、質感とも文句なしの迫力を持つ。遠く離れて眺めても、少し傾きながら傘状に開く樹冠はいかにも名マツと呼ぶにふさわしい姿だ。根元付近の幹は、全体重を支えるためにうねりながら立ち上がっており、マツでこれだけの太い幹は感動を禁じ得ない。

 全体的に樹高が低く、盆栽仕立てのような樹形を保つため、人の手が入り、樹形も管理されていたのかもしれない。

 2019年に長さ約7メートルの枝が折れ、樹木医の診断によると、主幹の一部が枯れ、同時に空洞化も進行しているとの診断がなされた。今後の対策が待たれるところだ。

 周囲を自治会の広場として管理しているため、これ以上マツに近接した住宅が建設されることはないだろうが、この貴重な大マツ、ぜひとも末永く生き残ってほしいものだ。(巨樹写真家)

 【データ】幹周6・78メートル、樹高14・5メートル。(筆者実測値)

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