【東京舞台さんぽ】「3月のライオン」 将棋の街、千駄ケ谷

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普段は扉が閉じられている将棋堂=東京都渋谷区の鳩森八幡神社
普段は扉が閉じられている将棋堂=東京都渋谷区の鳩森八幡神社

 2016年、将棋の藤井聡太五冠がプロ入りし世間をにぎわせた。17歳のプロ棋士桐山零(神木隆之介)が活躍する映画「3月のライオン」が公開されたのは17年。映画に登場した将棋の街、東京・千駄ケ谷を訪ねた。(共同通信=高橋夕季)

 「将棋の総本山」と呼ばれる将棋会館(東京都渋谷区)。零は、JR千駄ケ谷駅で下車すると、東京体育館の脇を通り、鳩森八幡神社の境内を抜けて会館へ向かう。

 境内に六角の「将棋堂」が建立されたのは1986年。山形県の著名な駒師が制作した王将の大駒が納められている。権禰宜の河原源太郎さん(34)によると、毎年1月5日にお堂の扉を開いて将棋堂祈願祭を実施。日本将棋連盟の会長らが将棋界の発展を祈願する。勝負事の神様が祭られている八幡神社。お堂の周りに掛けられた数々の絵馬に目を向けると、将棋を巡る勝利への願いが記されていた。

 振り返ると、少年が1人、境内を駆け抜けていく。裏の鳥居をくぐると振り返って一礼。また走り出し、そのまま将棋会館へと入っていった。

 会館はプロ棋士のみならず愛好家やファンも集う場となっている。子どもも高齢者も対局相手を求め、2階の道場を訪れる。1階の売店では棋士の著書やグッズを販売。藤井五冠の揮毫した文字を印刷した扇子が人気という。

 対局室では第一線の棋士がタイトル戦などに臨んできた。作中では、零もここで戦いを繰り広げる。先輩を打破し、八つ当たりされたこともあった。そんなとき、会館近くの商店街を走り抜け、人けのない東京体育館の屋外通路へと駆け上がり絶叫する。「全部こっちは懸けてんだよ! 将棋ばっかなんだよ!」

 体育館の向かいには、東京五輪を前に建設された国立競技場がそびえ立つ。将棋だけでなく、厳しい勝負に挑む人々の心中に思いをはせた。

 【メモ】千駄ケ谷大通り商店街には、映画の原作となった羽海野チカの漫画の登場人物をデザインしたマンホールのふたが設置されている。

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