社説:北前船、仏で大会 秋田を売り込む機会に

 江戸・明治期の交易船「北前船」ゆかりの地の活性化を目指す北前船交流拡大機構などは10月、日本の食と文化をPRする「フランス大会」をパリなどを会場に開く。本県の自治体や企業も参加する。コロナ禍で落ち込んだ訪日客の呼び込みや、県産食材の輸出拡大につなげる機会としたい。

 交流拡大機構は2017年にJRや航空会社などが中心になって立ち上げた。本県を含む北前船ゆかりの地域と協力し、地域の交流や活性化を図る事業を行っている。

 仏大会は日本貿易振興機構(JETRO)、国際観光振興機構(JNTO)、アルザス・欧州日本学研究所と連携して開催。欧州の旅行や輸入、小売、料理関係者らを対象にフォーラムやセミナーを行う。全国の18自治体が参加。本県からは佐竹敬久知事や秋田、大館、男鹿の3市長らが訪仏する予定だ。

 欧州からの訪日客は、アジアや米国に比べると少ないのが現状。JNTOが昨年、世界の重点市場で訪日旅行意向調査を行ったところ、米国では中長距離の海外旅行をした人の約6割が日本を訪れた経験があったのに対し、フランスは約2割にとどまっていた。英国やドイツなどの欧州諸国も1~2割程度。欧州の人々の訪日意欲をいかに高めるかが今後の課題といえる。

 仏大会では日本への興味喚起のため、各地の伝統や文化を紹介。本県は国重要無形民俗文化財「秋田竿燈まつり」や、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産「男鹿のナマハゲ」をお披露目する。これらの伝統行事は迫力が重要であり、演出を工夫して本場の雰囲気を伝えたい。

 海外で人気が高い秋田犬を解説するセミナーも開かれる。来年は忠犬ハチ公が大館で生まれて100年の節目だ。世界的に注目されるに至ったハチ公の逸話と共に、秋田犬のルーツの紹介に力を入れたい。

 仏大会が欧州への売り込みを図るもう一つの柱が日本の食だ。農林水産省のまとめでは、海外の日本食レストランは調査開始の06年は約2万4千店だったが、21年には約15万9千店まで増加。欧州は世界8地域の中でアジア、北米に次いで3番目に多い約1万3300店ある。

 かつて北前船が運び、日本の食に欠かせなくなった昆布をテーマにした講演も予定されている。欧州では昆布を使用する料理人が増えている。日本の食材の販路拡大につなげたい。

 欧州最大級の食の見本市での売り込みも行う。本県からは7社が参加し、稲庭うどんやいぶりがっこ、日本酒などを出品する予定。本県の食を生んだ雪国の歴史や文化も併せて紹介することで、本県観光への関心を高められるのではないか。

 欧州の社会経済活動はコロナ後に向けて日常に戻りつつある。本県を売り込む貴重な機会を最大限に生かしてほしい。

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