社説:羽後高給食 学校存続へ魅力向上を

 羽後町の羽後高校では、夏休み明けの8月下旬から学校給食が始まった。県内の全日制公立高校の給食は初。県立高校だが、町が費用の一部を負担する。

 背景には同校存続への町の強い危機感がある。給食により生徒たちの健康づくりや保護者の負担軽減などを図り、同校の魅力向上を進めてほしい。

 少子化に伴い県内各地で小中高校の統廃合が進む。羽後高も定員割れが続く。募集定員70人に対し入学者は2022年度が25人、21年度24人、20年度41人だった。同校がなくなれば町の人口流出が加速するのではないかとの町側の懸念は根強い。

 昨年7月、町内の教育、経済関係者、同校OBらで構成する「羽後高校の活性化を考える会」で給食の構想が出された。同9月、同校が1、2年生の保護者65人に意向を尋ねたところ、40人が給食を希望。町教育委員会は需要があると判断した。

 現在、希望者67人が給食を利用している。生徒側の負担は1食当たり食材費250円。町は22年度一般会計予算に1千万円を計上。給食運搬用の設備や食器などの費用を負担している。

 調理は町の給食センターが担当。1日に1200食の提供が可能だが、町内の小中学校の給食は約千食分であることから、高校の給食調理も行うことになった。使用するコメは100%町内産。他の食材も可能な限り町産の旬の農産物を用いる。給食が、センターの有効活用や地産地消促進にもつながることが期待される。

 生徒は従来、保護者が作った弁当などを昼食にしていた。夏場に腐敗しないように配慮するなど、弁当作りは保護者にとって負担が大きい。希望者に給食を提供するのは保護者にも寄り添った対応と言えよう。

 20年策定の第7次県高校総合整備計画は、同校について「2学級規模を維持できなくなりつつある」などと指摘。同校が立地する湯沢雄勝地区では23年3月の中学校卒業予定者は434人。28年3月は362人になると予測されている。少子化への対応を急ぐ必要がある。

 町はこれまでも地域の活力を維持する上で同校の存在が不可欠として、同校の同窓会や後援会などによる支援組織に補助金を拠出。支援組織は生徒の英会話能力を高める実践型英語塾を開くなどの試みを進めてきた。入学者数の回復に向け多様な取り組みが欠かせない。

 町産食材を用いた給食をきっかけに、生徒が食生活や食文化について深く学ぶ機会をつくることもできそうだ。町の農産物の活用や販路開拓などを考えるビジネス学習を充実させることも考えられる。

 町は高校がなくなれば、町の活気が失われる恐れがあるとする。中学生が進学先を選択する際にも、給食は魅力の一つとなり得るだろう。給食を通じて町への理解や親しみが深まることを期待したい。

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