社説:男鹿市の旅先納税 地域経済活性化に期待

 男鹿市は旅行者をターゲットにしたふるさと納税「旅先納税」を東北で初めて導入した。スマートフォンで申し込むと、すぐに返礼品として市内で使える電子クーポンが発行される手軽さが特徴だ。より幅広く寄付を募り、税収アップやクーポン使用による地域経済活性化につなげてほしい。

 旅先納税は旅行中や出発前の利用を想定している。スマホで専用サイトにアクセスして初回のみ会員登録し、寄付額を5千円(クーポン1500円分)から10万円(同3万円分)までの5段階から選ぶ。画面でクーポン発行が確認でき、有効期間は180日。

 利用できるのは飲食店や土産物店のほか、観光・宿泊施設、タクシーなど38事業所。男鹿水族館GAO、なまはげ館といった観光客に人気のスポットも含まれている。利便性を高めるため、今後もクーポンの使える対象を増やしていくことが欠かせない。

 これまでのふるさと納税の返礼品は農水産物や加工品などを取り扱う一部業者が納入していたが、旅先納税はクーポンを使うことで幅広い業種に恩恵が行き渡ることになる。返礼品の送料や管理費がかからないというメリットもある。

 男鹿市のふるさと納税の寄付額は、2021年度に前年度を下回るなど伸び悩んでいる。このため新しい切り口として観光地である特性を生かせる旅先納税に着目。税収アップと同時に市内での消費喚起も期待できると判断した。

 旅先納税は19年に岡山県瀬戸内市でスタート。ただ新型コロナウイルスの影響で旅行者が減ったため、昨年までの導入は5自治体にとどまっていた。

 今年に入ると、観光需要の回復が見られたことから導入が進んだ。今月22日にスタートした男鹿市は全国14番目。年内にはさらに12自治体が導入に踏み切る見込みだ。

 スキーリゾート施設が立地する北海道倶知安町は21年12月からの約3カ月間で、想定の100万円程度をはるかに超える約964万円の寄付があり、クーポンの利用は282万円だった。町と連携する倶知安観光協会は旅先納税の知名度が上がれば、もっと増える手応えを得たという。

 一方で思うように寄付が伸びていない自治体もある。男鹿市は他の動向を分析しながら、利用促進を図る必要がある。チラシ配布やホームページなどでの周知は行っているが、一層効果的なアピール方法を探ってもらいたい。

 観光関係者からは県内の他の自治体でも旅先納税を導入すれば、男鹿市と合わせて周遊するケースも出てくるのではないかという声も聞かれる。男鹿市が単独で実施するよりも、複数の自治体が運用することで相乗効果を上げられるような施策も検討すべき課題だろう。

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