社説:衆院10増10減 地方配慮し抜本改革を

 衆院小選挙区定数「10増10減」を反映し、1票の格差を2倍未満に是正する改正公選法が、12月28日に施行される見込みとなった。施行日以降に全国一斉で実施される衆院選から適用される。議員定数が首都圏などで増える一方、地方で減少する。

 改正の目的は、憲法が求める投票価値の平等の実現。だが、このまま地方から都市への人口移動が続く限り、都市の選挙区の定数が増え、地方の定数は減っていくことになる。定数が減る県の知事らからは「地方の声が届きにくくなる」との声が出ている。国会は引き続き1票の格差の是正を図りつつ、地方の懸念を払拭できる選挙制度の構築を急がなければならない。

 今回の改正に伴い、区割り改定の対象は25都道府県の140選挙区に及ぶ。本県の3選挙区は該当しないが、人口減が著しいだけに、将来区割り改定の対象となる可能性は否定できない。決して人ごとではない。

 議員定数は首都圏1都3県と愛知で計10増となり、このうち東京は5増。これに対し宮城、福島、新潟など10県が各1減となる。一つの自治体が複数の選挙区に分かれていた状況を解消するための区割り見直しもある。比例代表ブロックは3増3減で、東北は1減となる。

 10増10減は、2020年国勢調査に基づき、人口比を反映しやすいとされる議席配分方法「アダムズ方式」で決定した。これらの改正により、1票の格差は現行の2・096倍から1・999倍に縮小する。

 1票の格差を是正するのは国会の責務だ。ただ今回の改正は、最高裁から「違憲状態」と指摘されてきた2倍以上をわずかに下回るに過ぎず、小手先と言わざるを得ない。

 25年国勢調査では、格差が再び2倍以上に広がる可能性が高い。今後も区割り改定を繰り返し、そのたびに地方の定数が減ることになりかねない。

 もはや抜本的改革が避けられないだろう。都市と地方の人口格差拡大に歯止めをかける政策は必要だ。だが特効薬が見当たらない中、地方の民意を国政に反映できる選挙の仕組みづくりに向け、与野党が知恵を絞って協議することを期待したい。選挙制度は民主主義の基盤であり、党利党略を超えた議論が求められる。

 現行の小選挙区比例代表並立制は、政権交代を実現させた半面、5割弱の得票率で7割前後の議席を得られ、「1強政治」を生む土壌となった。導入から26年が経過し、制度自体を検証すべき時期だろう。

 今年7月の参院選の1票の格差を巡る訴訟では「違憲」「違憲状態」の高裁判決が相次いだ。これを受け参院は与野党で選挙制度改革の議論を始めた。

 衆院も足並みをそろえ、選挙制度の改革に取り組まなければならない。民意をより的確に反映できる制度の在り方を追求するのは使命だ。

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