【東京ウオッチ】サンローラン「唯一無二の女性」―ベティ・カトルーさんの展覧会 いまのTokyoをつかむイベント情報(26日~12月4日)
◎今週の一推しイベント
【26日(土)】
▽「BETTY CATROUX―YVES SAINT LAURENT 唯一無二の女性展」(~12月11日、品川区・寺田倉庫B&C HALL/E HALL、開場時間は10時から19時、閉館日なし、入場無料、LINE事前予約制)
フランスの有名デザイナー、イブ・サンローランのミューズ(女神)であり、サンローランが自らの「片割れ」と呼んでいたベティ・カトルーさんの物語を振り返る展覧会が東京・天王洲の寺田倉庫で開催されている。2020年にパリ、21年に上海で行われた巡回展の一つとなる。
ファッションアイコンである彼女の半生をたどりながら、サンローランの過去と現在をつなぐ構成となっている。カトルーさんから「ピエール・ベルジェ=イヴ・サンローラン財団」に寄贈されたワードロープなど、サンローランの貴重な服飾作品を紹介。彼女のユニークなパーソナリティーと美学を探る。
監修を「サンローラン」の現クリエーティブ・ディレクター、アンソニー・バカレロさんが担当しているのも注目だ。
○そのほかのお薦めイベント
【26日(土)】
▽「ポメラート『女性に対する暴力撤廃の国際デーに新動画“We believe you”を公開 暴力に反対する女性たちと共に立ち上がる』」(オンライン配信、配信終了日未定)
女性に対する暴力撤廃の国際デーとなる11月25日、イタリアの高級宝飾品ブランド「ポメラート」が、この深刻な問題を解決するために新動画「We believe you」を公開。女性に向けられた攻撃に対して声を上げている。
イタリアの俳優アレッサンドロ・ガスマンさん、同じく俳優・作家のドゥシラ・フォーアさん、フランスの俳優アイ・アイダラさんら男女8人の著名人が「暴力を止めることは、被害者を信じること、耳を傾けることから始まる」というメッセージを、それぞれの言葉でカメラに語りかける。
ポメラートのCEOであるサビーナ・ベッリさんは「暴力被害を受けたすべての女性に、その連鎖を断ち切るために声を上げることを知ってほしいという願いが込められている」とコメント。イタリア・ミラノから世界へ発信し日本の女性にも勇気を与えてくれる。
▽「クレヨンハウス、表参道で最後のイベント」(9時、事前予約制、オンライン開催)
作家の落合恵子さんが1976年に絵本やおもちゃ、オーガニック食材などを取り扱う店として東京・表参道に開いたクレヨンハウス。街のシンボルの一つとして地元を始め、多くの人々から愛されてきた。建物の老朽化に伴い、長年温めてきた農業に関わる構想も実現させるため、23日に閉店。吉祥寺へ移転する。
落合さんは「70年代の表参道は手づくりの個人店が並び、人とのつながりが新たな創造を生む空気があった。クレヨンハウスも子どもと大人が交流できる場所へと成長した」と話す。「ここは46年の思い出がつまった故郷の一つ。『あなたはあなたのままでいい』というメッセージをこれからも届けていきたい」
表参道での最後のイベントは、公開中の冤罪をテーマにしたドキュメンタリー映画「オレの記念日」の監督・金聖雄さんの講演会。公権力に暮らしや命が奪われる恐怖を伝える。人権や民主主義の尊重に危うさも漂う現在の日本。落合さんは「誰かが声を上げ続けなければ」と語った。
【1日(木)】
▽「表参道 フェンディ イルミネーション 2022」(~12月29日、渋谷区・表参道)
表参道のケヤキ並木約1キロを約90万球のLEDでライトアップするイルミネーションイベント。神宮橋交差点から表参道交差点までのエリアを幻想的な光で浮かび上がらせる。今年はイタリアのブランド「フェンディ」の協賛で開催される。
また、11月16日から12月25日までは「表参道ヒルズ」でもクリスマスイルミネーションを実施。約1万4千個のバルーンを使い、吹抜け大階段に“宙に浮かぶ”光のツリーを表現している。
16日、3年ぶりとなる点灯式にはスペシャルゲストとして俳優の新木優子さんが登場。「多様性やいろいろな思いをアートで楽しめるイルミネーションと感じた」とコメントした。
▽「六本木クロッシング2022展:往来オーライ!」(~23年3月26日、港区・森美術館、事前予約制)
3年に1度、森美術館で開催されている日本の現代アートを総覧する展覧会。
今回は石内都さん、青木野枝さん、AKI INOMATAさん、潘逸舟さんら1940~90年代生まれのアーティスト22組を紹介。変わりゆく世界を見つめる絵画や映像作品を展示し、ダイバーシティーやLGBTQ+といった言葉の影に隠される差異にも光を当てる。
アイヌの人々をテーマにした池田宏さんの映像インスタレーションや、テキスタイルを用いて物語を紡ぎだす呉夏枝さんらの作品を通して、日本の中の多文化性についても考察する。