北斗星(12月18日付)

 来年100歳を迎える直木賞作家、佐藤愛子さんの著書「孫と私の小さな歴史」には、1992年から20年にわたって撮った写真が紹介されている。いずれも年賀状に印刷するためのものだ

▼海賊、コギャル、三つ目小僧に晒(さら)し首…。毎年テーマを変え、孫の桃子さんと扮装(ふんそう)して写真に納まった。「挨拶(あいさつ)やら近況報告のようなものを真面目くさって書かなければならないのが億劫(おっくう)でたまらない」。佐藤さんは同書で写真入り年賀状にした時の気持ちをこう振り返っている

▼年賀状の受け付けが行われている。2023年正月用の発行枚数は全国で16億4千万枚。前年より1割減った。ピークの04年用は約44億6千万枚だった。日本郵便は需要に応じた枚数と説明する

▼交流サイト(SNS)などの普及により、若者を中心にはがきの年賀状を送らない人が増えた。日本郵便も昨年、LINE(ライン)で送るデジタル年賀状サービスを始めた。年賀状のありようは変化している。高齢者には「年賀状じまい」の動きも見られる

▼それでもはがきならではの魅力がある。送る相手のことを思い浮かべて書く、元旦に郵便受けから取り出して一枚一枚目を通す―。そんな瞬間が好きという方もいるだろう

▼昨日の朝、所用で秋田市保戸野の秋田中央郵便局に出かけた。専用ポストに投函(とうかん)する人は見かけなかった。「これから増えてきます」と窓口の局員。25日までに投函すれば元日に配達される。億劫がらずに書き始めようか。

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