北斗星(12月22日付)
秋田市では一冬で最も多く雪が積もった深さ(年最深積雪)が記録の残る1891年以降、減少傾向にある。100年に約14センチの割合だ。地球温暖化は雪とも無縁ではない
▼日本海側ではおおむね同様の傾向が見られる。気温が高めに推移すれば積もった雪は解け、降る雪は雨に変わる。最深積雪の減少は長期的な気温の上昇傾向に符合するという
▼しかし政府がまとめた「日本の気候変動2020」という報告書は、こうした流れを踏まえた上で注意も促す。「ごくまれに降る大雪のリスクが低下するとは限らない」と
▼温暖化が進めば日本海の海面水温も上がり、冬季に大量の水蒸気が大気に供給される。大陸からの季節風に運ばれた水蒸気は、気温が氷点下である限り雨ではなく雪として地表に達する。温暖化が進んでもなお、こうした仕組みで北国は大雪に見舞われる可能性にさらされ続けるというのだ
▼ここ2年の大雪を思い起こしてもこの警告はうなずける。昨年2月には横手市で観測史上最大203センチの積雪を記録。昨冬も県内各地は大雪に見舞われ、除雪中の事故などで9人が亡くなった。秋田市の除雪費は36億円を超えて過去最高水準となり、農業被害は全県で4億円を超えた
▼今冬も本格的な降雪期に入り湯沢市などでは既に平年を大きく上回る積雪となっている。新潟県では記録的大雪のため車両の大規模な立ち往生が発生。大雪のリスクはいつもそこにある。そう胸に刻み長い冬に立ち向かおう。
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