(essay)さて、聞いて?(4)それがどのようなものであれ 文:東 穂高

連載:ハラカラ 第40号 Dec 2022

若い人の、まだ熟しきっていない、でも大切にしている時間・感情・オピニオンを不定期で紹介するコーナーです。思いを書き、聞いてもらって、また一歩進めるように。

 ◇◇◇

 私が秋田へ戻ったのは2020年の夏のことでした。それまでは金沢・富山を拠点に北陸を中心に活動しておりましたが、その年に世の中が大きく変化したのをきっかけに秋田に移り住んだのでした。もともと秋田公立美術工芸短期大学でガラスに初めて触れ、学びましたので秋田は硝子造形家としてのルーツと呼べる土地です。こちらに来てからは秋田市新屋ガラス工房に所属しながら日々、自分に向き合いながらガラス制作をしています。

 この文章を書いている今は11月末日、東京での個展の開催まであと10日程まで迫った日のことです。個展は年に一度か二度開いていて、その度に新作を発表しています。今回ですと有機的でたおやかな形の香水瓶がそれにあたります。代表作のカットを施したシャープな香水瓶に対比される作品です。今日はちょうど個展に向けて最後の準備をしているところです。つまり、私はこの作品が人からどのような反応を受けるのかまだ知らないわけです。受け入れられるのか、あるいは受け入れられないのか、今から緊張しています。この文章が掲載される頃にはその結果が出ていることでしょう。

 それがどのようなものであれ、また日々の制作に戻っています。物を作るのには、昨日よりも今日作ったものが良くなるように、辛抱強く少しずつ積み上げていくことが大事なのではないかと思っています。そして、その先に良い作品が生まれるのだと信じています。


●ひがし・ほだか
宮城県出身、秋田公立美術工芸短期大学窯芸ガラスコース卒業、富山ガラス造形研究所造形科卒業。その後金沢市牧山ガラス工房、なないろKANガラス工房スタッフを経て、現在は秋田市新屋ガラス工房サブリーダー。
https://hodaka.work/


東穂高「Bloom Fragrance」展が12月25日まで東京・青山のArts&Scienceにて開催中。
会場:東京都港区南青山4の23の11
☎ 03・3498・1091
時間:午前11時〜午後7時
https://arts-science.com/news/hodakahigashi2212/

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