社説:スケボー施設整備 期待に応えにぎわいを
にかほ市は4月のオープンを目指し、スケートボードパークの整備を進めている。ふるさと納税で事業費の一部の寄付を募ったところ、目標の2千万円を大幅に上回る1億6525万円が集まった。
スケボー愛好者らの注目度の高さがうかがえる。市内外から幅広い世代が集い、交流人口の拡大、にぎわいの創出につながる施設となってほしい。
整備地は、同市黒川の白瀬南極探検隊記念館や竹嶋潟に近い駐車場の一角約千平方メートル。坂や階段、手すり、すり鉢状の「ボウル」などを設け、中・上級者向けの難度を備える一方、初心者も気軽に挑戦できる設計にしている。
市は第2次総合発展計画の後期基本計画(2022~26年度)に、スケボー、3人制バスケットボールなど若者に人気のあるスポーツを体験できる施設や機会の提供を盛り込んだ。いずれも21年に開かれた東京五輪で注目された競技だ。
五輪のスケボーでは日本選手がメダルラッシュの活躍を見せた。また地元のスケボー愛好者は市内の公園を利用しているが、付近住民から騒音への苦情が寄せられ、市が代わりの場所を探していたという。
競技に対する関心の高まりと地元愛好者の増加。これらを捉えた市のパーク整備構想が広く期待感を集めたと言えよう。大きな反響を呼び、計画していた施設の拡充にもつながった。
市は当初、事業費として3770万円を予定。昨年の市議会6月定例会に事業費を盛り込んだ一般会計補正予算案を提出し、可決された。
利用者目線で質の高い施設にしたいと、設計の検討段階から地元愛好者の意見を反映。必要な設備を精査していく中、より多くの集客につながる充実した施設にするには事業費が足りないとして、ふるさと納税の活用に踏み切った。
11月上旬に募集を始め、20日間ほどで2千万円に到達。その後も寄付は続き、目標の8倍以上に膨らんだ。
寄付者は延べ4353人に上った。99%が県外在住者で、仙台市や関東圏が目立ったという。充実したパークが整備されれば、県外から多くの愛好者が訪れると期待される。
予想以上に集まった寄付金は、施設のさらなる拡充や維持管理などに充てることが考えられる。にかほ市は反響の大きさに驚きを隠せないが、期待に応える責任がある。スケボーはけがのリスクもあるだけに、安全管理面の施設や人的体制をどうするかも課題だ。
整備地は民家から離れた場所だが、周りに観光施設や散策スポットがある。利用者にはごみを散乱させたり、大声で騒いだりしないようマナー順守が求められる。全国の愛好者が足を運んでみたくなるパークに育て上げるために、利用ルールなどについても検討を積み重ねたい。