【東京ウオッチ】「私は真理を求める少女」―写真家・安珠さんが世界観表現 いまのTokyoをつかむイベント情報 (21日~29日)

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安珠さんの作品「内省のはじまり 01」((C)Anju)(提供写真)
安珠さんの作品「内省のはじまり 01」((C)Anju)(提供写真)

 ◎今週の一推しイベント

 【21日(土)】

 ▽「A girl philosophy―ある少女の哲学」安珠 写真展(~2月12日、入場料無料、中央区・シャネル・ネクサス・ホール)

 多くのファッション誌を飾る国際的モデルとして活躍した写真家の安珠さんの個展が、銀座のシャネル・ネクサス・ホールで開催されている。

 写真家に転身後は、文章を織り交ぜた物語性のある独特の世界観を表現。今回はライフワークとして取り組んでいる「少年少女の内なる世界」を撮影した最新作50点を、映像や過去の作品も含めて紹介している。「不思議の国のアリス」や「青い鳥」など、誰もが知る児童文学をモチーフに、少女が目にした出来事について内省を深めていく過程を描写した。

 「目に見えないものを写し撮りたい」と話す安珠さん。鑑賞者は、不確かな現実に生きる少女が真理を求める姿に出会うことができるだろう。



 ○そのほかのお薦めイベント

 【21日(土)】

 ▽「大竹伸朗展」(~2月5日、千代田区・東京国立近代美術館)

 現代日本を代表するアーティスト、大竹伸朗さんの大規模な回顧展。絵画、版画、彫刻、映像、絵本、音、エッセーのほか、インスタレーションや建造物に至るまで、1980年代から半世紀近くにわたる精力的な創作の軌跡をたどっている。

 大竹さんはベネチア・ビエンナーレ(2013年)などにも参加。海外でも高い評価を得ており、今回は国際展への出品作を含む約500点を紹介。展示は時代順にこだわらず「自/他」「記憶」「移行」など七つのテーマで構成した。

 大竹さんは「世界は破壊が続いているけれど、モノをつくる力、つくりだすパワーを少しでも感じていただければ」と語った。

 ▽「『TREE by NAKED yoyogi park』が新たなビーガンメニュースタート」(終了日の詳細は未定、渋谷区)

 代々木公園のアートレストラン「TREE by NAKED yoyogi park」が、新たなビーガンメニューを提供している。

 肉や魚、卵、乳製品など動物由来の材料を使わないビーガン料理は質素な印象がある。そのため、味や見た目に工夫や彩りを加え、プロジェクションマッピングなどのアート演出の中で味わうことができるようにした。野菜中心の色鮮やかな「ブッダボウル」は注目メニューの一つ。

 ビーガンメニューの開発を主で担当している上田美徳さんによると、日本のビーガン、ベジタリアン人口は約5%という。上田さんは「ビーガン料理は流行や美容として扱われる傾向があり、環境保護や動物愛護、健康維持といった本来の文化的要素とは異なる捉え方があると感じている」と説明。持続可能性への意識の高まりとともに、身近な存在になることを期待している。

 【24日(火)】

 ▽「ブルデュー『ディスタンクシオン』を読む―趣味と階級の社会学(日仏会館教養講座)」(24日、31日、2月7日、14日の全4回、いずれも18時30分からオンライン開催、事前予約制)

 22年に没後20年を迎えたフランスの社会学者ピエール・ブルデューは、著書「ディスタンクシオン」(1979年)で、当時のフランス社会の構造を実証的、理論的に分析した。難解とされる内容をオンライン講座で読み解くイベントだ。

 本書では、膨大な統計資料のほか「文化資本」「社会空間」「ハビトゥス」など独自の概念も駆使して、フランス社会を分析。その考察は「格差」の拡大が深刻な問題となっている現代日本社会にも参考になりそうだ。

 講座では、元東大理事・副学長で中部大教授の石井洋二郎さんが分かりやすく解説、現状への応用の可能性も探る。

 【28日(土)】

 ▽「『elective affinities』展 Part1」(~3月5日、入場無料、Part1の参加アーティストは17人、Part2は夏に開催予定、港区・アニエスベー ギャラリー ブティック)

 ファッションブランド「アニエスベー」の日本初出店40年を記念し、青山でアート展覧会が開催される。日比野克彦さんや落合陽一さんらのほか、本展がデビューとなる若手も含めた40人のアーティストがPart1と2に分かれて参加。世代やジャンルを超えて、作品を発表する。

 アートを支援してきたブランド創設者アニエス・トゥルブレさんは、有名、無名ではなく、その人が持つ知性や才能、自由さに魅了されるという。展覧会で、40人はそれぞれ引き寄せられたアーティストも紹介する。

 アニエスベーのカルチャーコンテンツ担当者の古宇田リヴォー朱美さんは「アーティストが関係を紡いだ他の作家やその作品について語ることで、彼らの関心も知ることができる」と述べた。

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