「川連漆器、海外に活路」記事に異議あり 産地の業者「海外展開よりやるべきことがある」
秋田魁新報がことし元旦に報じた「県内産業 海外に活路―川連漆器、王室に照準」という記事に対し、地元で寺院用仏具を製造販売する男性経営者から異論が寄せられた。「海外展開よりもやるべきことがあるはずだ」-。
■工芸品・青果・精密部品… 県内産業、海外に活路求める動き
https://www.sakigake.jp/news/article/20230101AK0007/
男性は湯沢市川連町で寺院の表札や彫刻物、仏具などの制作、修理を手がける「平成産業」の代表・佐藤克久さん(46)。国指定伝統工芸品の川連漆器を海外展開する動きを紹介した記事に対し、「海外に販路拡大することより、日本国内で今ここにいる職人の技術を生かしてやれることがまだまだある」という意見を電子版の問い合わせ窓口から寄せた。

佐藤さんの会社は漆器製造に直接関与しているわけではないが、職人の高齢化や後継者不足に危機感を抱いているという。
分業制で成り立つ川連漆器の製造。原木を削る「木地師」、漆を塗る「塗師」、表面を彫り金箔(きんぱく)で彩る「沈金師」と筆で花などを描く「蒔絵(まきえ)師」の手を経て、消費者の元に届く。川連地区では漆器に加え、仏壇製造の店も複数ある。
分業制で成り立つ製造、進む職人の高齢化
佐藤さんの会社でも、自社で対応できない一部の工程について、漆器の職人に依頼するケースがあるという。「木地師でろくろびきの専門職人は3人いるが、61歳が最年少だ。重箱や四角いお盆をつくる指物の職人も50代以下がいないと聞いている。この状態が続けば、10年後に産地はどうなってしまうのか。漆器業界は後継者育成を急ぐべきだと思う」と危機感を口にする。「職人の高齢化が進んでいる今、足元をしっかりと見つめて、産地の伝統をどうつないでいくのか、真剣に考える時期に来ている」
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