北斗星(1月29日付)
井上陽水さんの「氷の世界」は1973(昭和48)年12月に発表され、アルバムとして日本初のミリオンセラーとなった。「今年の寒さは記録的なもの こごえてしまうよ 毎日 吹雪 吹雪 氷の世界」。厳しい寒波にそんな古い歌を思い出した
▼寒々とした言葉が並ぶ歌詞だが、歌われる「吹雪」「氷」はあくまで心象風景。それに対して今冬の寒さは体の芯まで冷え込む本物だ。昨日の秋田市は青空がのぞいたかと思えばふぶく一日。県内26観測地点のうち、24地点は最高気温が0度未満の真冬日だった
▼こんな寒い日には温かい食べ物が欲しくなる。かつて県南地域に赴任して、おいしさを知った納豆汁を久々に作った。具材はナメコやゴボウ、油揚げ、長ネギなど。すり鉢で納豆をすらなくても簡単に作れる納豆汁のもとも売られている
▼1週間ほど前にはサケのアラでかす汁を作った。スーパーでパック入りのアラを見つけ、酒かすとともに買い物かごに。大根やニンジンと一緒に煮込み、長ネギを添えた
▼どちらもみそ仕立ての汁物。酒かす、納豆、みそはいずれも本県の誇る発酵食品だ。とろみがついた熱々の汁が体を芯から温めてくれる。ただとろみや甘みで味が濃くなりがち。塩分の取り過ぎにならないように気を付けたい
▼「氷の世界」は73年から翌年にかけての「四八豪雪」と同じ時期のヒット曲。半世紀近く前の豪雪とは異なる今年の凍えるような冬を、発酵食品から力をもらって乗り切ろう。
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