対馬の仏像、日本側に所有権 返還は韓国政府が要検討と高裁
【大田共同】長崎県対馬市の観音寺から盗まれ韓国に持ち込まれた仏像を巡り、所有権を主張する韓国中部瑞山の浮石寺が、盗品として像を保管中の韓国政府に引き渡しを求めた訴訟の控訴審判決で、大田高裁は1日、浮石寺への引き渡しを命じた一審判決を取り消し、同寺の訴えを退けた。観音寺の所有権を認める一方、仏像返還については韓国政府が国際規範を考慮して検討する必要があるとした。
2017年の一審判決には日本側が反発、日韓関係悪化の一因となっていた。日韓両政府が関係改善を図る中、今回の判決はその流れに沿う内容と言えそうだ。
松野博一官房長官は1日の記者会見で「日本に早期返還されるよう韓国政府に働きかける。寺を含む関係者と連絡を取りつつ、適切に対応する」と述べた。
仏像は長崎県指定有形文化財「観世音菩薩坐像」。高裁は14世紀に像を作った「瑞州浮石寺」と現在の浮石寺が同一とは認定できないと指摘。観音寺が一定期間にわたり「平穏かつ公然と」持つことで所有権が認められる民法上の「取得時効」が成立していると判断した。
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