北斗星(2月7日付)
中学時代、家庭用ゲーム機「ファミリーコンピュータ」を買ってもらった時のことはよく覚えている。実在のプロ球団と似た名前のチームが対戦する野球ゲームや、宇宙空間で敵を撃ち落とすシューティングゲームに夢中になった
▼親と「遊ぶのは1日1時間」とルールを決めたものの守れず、真夜中に音を小さくしてプレーする日が続いた。そのうちに自分でもゲーム依存になるのが怖くなってきた。このままでは人生を台無しにしてしまうのではないか―。意識的にゲームから離れ、後継機種も買うことはなかった
▼昭和末期からゲーム市場は拡大を続け、今や世界で20兆円を超える規模とされる。デジタル化が進んだ社会を支えるプログラマーなどの人材の多くは、元々はゲーム好きの少年少女である
▼競技としてコンピューターゲームを行うeスポーツの人気も高まっている。今秋開催のアジア大会(中国・杭州)では正式競技に採用された。ゲームの存在感は増すばかりだ
▼本県では高齢者だけのeスポーツチーム「マタギスナイパーズ」が一昨年から活動中。単なる余暇の楽しみにとどまらず、賞金を稼ぐプロを目指すほどの本気ぶりだ。昨年は世界最大規模のゲームイベント「東京ゲームショウ」に参加しトップクラスのプロ選手と対戦した
▼70歳前後のメンバーが「死ぬまで打ち込めるものを見つけた」と語るのはまぶしく見える。人生経験豊富な高齢者なら依存し過ぎないすべも知っていることだろう。
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