【東京舞台さんぽ】「リコリスリコイル」 崩れた電波塔が世界観演出、墨田区
昨年放送されたテレビアニメ「リコリス・リコイル」は、犯罪を未然に防ぐ秘密組織の少女戦闘員「リコリス」たちの物語。主人公の錦木千束と井ノ上たきなが暮らす街は、東京都墨田区がモデルだ。実在の公園や水族館そっくりの場所が登場する一方で、東京スカイツリーを思わせる「旧電波塔」は無残に崩壊した姿で描かれ、独特の世界観を演出している。(共同通信=高田麻美)
物語は、たきなが任務中の命令違反を理由に転属を言い渡される場面で始まる。新しい所属先でコンビを組むことになったのは、かつて電波塔を破壊したテロリストたちをたった1人で倒した経歴を持つ千束だった。
優秀なリコリスの下で学べると意気込むたきなだったが、千束が受ける「仕事」は保育園の手伝いやコーヒーの配達など、治安維持とは無縁の雑用ばかり。活動に意義を見いだせないたきなに、千束は「困ってる人を助ける仕事だよ」と笑いかける。2人で崩れた旧電波塔を眺めながら「人助け」について話し合うシーンは、区立錦糸公園の風景を参考に描かれた。
仕事一筋のたきなを千束が遊びに連れ出す回で2人が訪れたのは、スカイツリー足元の商業施設「東京ソラマチ」らしきスポットだ。3本の石柱が寄り添う彫刻が印象的な「ソラマチひろば」の風景は、オープニング映像にも登場している。
千束お気に入りの「押上水族館」は、ソラマチ内の「すみだ水族館」がモデル。作中で2人が見ていたのと同じチンアナゴの水槽もあり、千束のポーズをまねて写真を撮るファンも多いという。
帰り道、実在する東京メトロ押上駅に似た「北押上駅」前を通りかかった2人は、事件の気配を感じ取る。駅を襲った真島は旧電波塔で千束と戦ったテロリストの残党だった。真島の「復活」により、千束とたきなは過酷な運命に立ち向かうことになる。
【メモ】墨田区は「リコリス―」ゆかりの地として「訪れてみたい日本のアニメ聖地88」2023年版に選ばれた。