強制不妊文書、滋賀県に開示命令 京都新聞記者が請求
旧優生保護法下での強制不妊手術に関する公文書の大半を滋賀県が黒塗りにして非開示としたのは不当として、京都新聞の森敏之記者が県に開示を求めた訴訟で、大津地裁(堀部亮一裁判長)は24日、一部の開示を命じた。森記者の弁護団によると、強制不妊手術関連の文書開示を求めた訴訟の判決は「初めて」という。
森記者は、旧法に基づき不妊手術の適否を決めていた「滋賀県優生保護審査会」に提出された手術対象者10人分の手術申請書や健康診断書に記載された病気・障害の状況、生活状況などの開示を求めていた。
堀部裁判長は、手術対象者の年齢、知能程度、非行歴、治療経過、手術を実施した医療機関の名称の開示を命じた。森記者が手術対象者の氏名や住所の開示は求めていないことや、対象文書が約50年前の情報であることなどを考慮し、個人の特定や権利侵害につながらないと判断した。
一方で手術対象者の職業、出生歴、異性関係、遺伝情報、手術を実施した医師名は「約50年前の情報とはいえ秘匿性は厳に守られるべき」などとして開示を認めなかった。
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