これからも帰る場所は角館 東日本大震災で移住の女性、感謝と寂しさ胸に旅立ち

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12年間暮らした角館から旅立つ山部さん。自然豊かな環境が好きだったという=仙北市角館町の自宅裏
12年間暮らした角館から旅立つ山部さん。自然豊かな環境が好きだったという=仙北市角館町の自宅裏

 東日本大震災後に福島県いわき市から秋田県仙北市角館町に移り住んだ山部里桜さん(18)はこの春、12年間暮らしたまちを離れ、東京都の大学に進学する。不安な日々を乗り越え、大好きになった第二の古里からの旅立ち。多くの人に支えてもらったことを胸に「いろんな経験を積んで自立し、優しい人間になりたい」と瞳を輝かせる。

 2011年3月11日、最大震度6弱の揺れがいわき市を襲った。当時6歳だった山部さんは保育園にいた。慌てて机の下に隠れたが、大きな横揺れはしばらく続いた。恐怖をこらえながら友達が泣くのをなだめ、「早く止まって」と祈るしかなかった。

 その後は2歳下の弟と一緒に園庭で家族の迎えを待った。どれくらいの時間だったかは覚えていない。とにかく長く感じた。ようやく母の顔を見た時に初めてほっとして涙が出た。

 自宅は津波の被害こそなかったが、屋根の瓦が落ち、内壁にひびが入り、割れた食器が散乱していた。福島第1原発事故による放射線の心配もあり、数日後に家族で仙北市にある父方の親戚宅に避難。温泉施設、集合住宅での生活を経て今の自宅に移り住んだ。

 生まれ故郷との別れはあまりに突然で、わずかひと月足らずの間に目まぐるしく変わる環境に不安が募った。

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