【東京ウオッチ】雨で消えても記憶に残るストリートアート―パリの有名アーティスト来日 いまのTokyoをつかむイベント情報(13日~21日)
◎今週の一推しイベント
【13日(土)】
▽「ジョルダン・サジェ『センヲエガク』」(~28日、港区・アニエスベー ギャラリー ブティック、入場無料)
パリを拠点に活躍するストリートアーティストのジョルダン・サジェさんの日本での初個展が青山で開催中だ。本展のために制作した直径2メートル以上のキャンバス作品2点、アーカイブ写真と映像、会場でのライブパフォーマンスによる作品で構成されている。
2015年から公道、店舗のファサード、地下鉄の壁面などにアラベスク模様のような交差する3本の曲線をチョークで描き始める。同年秋に起きたパリ同時多発テロ直後も街中での創作を諦めなかった。チョークによるサジェ作品は雨が降れば消えてしまう。その場に居た人々の記憶とデジタルコンテンツとしての記録として残るのが特徴だ。
来日中も渋谷の公道、香川県の豊島、広島県の瀬戸田港などでライブパフォーマンスを実施。
サジェさんは「日本各地には創造力を刺激する場所が多くある。新たな“違う視点”を得ることができた」と語った。
○そのほかのお薦めイベント
【13日(土)】
▽「展覧会『今井俊介 スカートと風景』」(~6月18日、新宿区・東京オペラシティ アートギャラリー)
鮮やかなストライプなどの絵画シリーズで知られる美術家今井俊介さんの展覧会が西新宿で開催されている。香川県の丸亀市猪熊弦一郎現代美術館で22年に開かれた個展の巡回展となる。
ふと目にした揺れるスカートの模様や、量販店に積み上げられたファストファッションの色彩の迫力に心打たれた体験が今井作品の原点。ストライプや水玉などの単純な色と形を組み合わせ、ゆがんだり波打ったりする形態をキャンバスや布に表現し続けた。
絵画を中心に映像やインスタレーションなど、10年以上にわたり制作された約60点を新作も含めて紹介。制作年順ではなく調和や関係性を優先した展示手法も特徴だ。鑑賞者は、色と形のリズムを通して身体的な感覚を得ることができる。
今井さんは「会場全体が一つの作品。ファストファッションに触れるように楽しくアートと接してほしい」と話した。
▽「サロンド パルファン イン サマー」(~16日、新宿区・伊勢丹新宿店)
国内外の優れたフレグランスブランドを紹介するイベントが新宿の伊勢丹で開催されている。これまで秋に開かれることが多かったが、今回初めて“夏のスピンオフ”として実施。注目のブランドが週替わりで登場している。
3週目となる10日からは、イタリアの「アクア ディ パルマ」の夏にふさわしいかんきつ系の香りの新作を紹介。シチリア島のかんきつを伝統的な手作業で抽出した香料を使っている。期間中はフレグランススペシャリストによる香り選びのカウンセリングもある。
夏が訪れる前、自分にぴったりな香りを見つけられるイベントだ。
【18日(木)】
▽「第3回『昭和レトロな世界展』」(~23日、豊島区・東武百貨店池袋本店)
2022年の春と秋に開催され人気を博したイベント「昭和レトロな世界展」が今年も池袋で開かれる。ノスタルジックな雰囲気が漂うグルメや雑貨、古着とともに昭和の世界観を楽しめる。
目玉は人気の純喫茶7店舗によるグルメの数々。1955年創業の神保町の老舗喫茶店「さぼうる」の看板メニュー「7色のクリームソーダ」は特に注目だ。定番のメロン味をはじめイチゴ、オレンジなど7種が会場に並ぶ。同じ神保町の隠れ家的喫茶店は小倉とバターを挟んだ厚切りトーストやエイジングコーヒーを提供。
昭和雑貨やビンテージミニカー、ブロマイドなどのレトロなアイテムも取りそろえた。企画担当の深井英孝さんは「40代以上の人は懐かしさ、若い世代は新鮮さを感じられる。親子3世代で楽しんでほしい」と話した。
【21日(日)】
▽「『読書クラブ』特別編第一回『翻訳者とともに』堀茂樹氏を迎えて」(16時、新宿区・東京日仏学院メディアテーク、事前予約制)
飯田橋の東京日仏学院メディアテーク(図書館)で、トークイベント「読書クラブ」の特別編「翻訳者とともに」が開催される。1回目は現代フランス文学翻訳家の慶応大名誉教授堀茂樹さんをゲストに迎えて、アニー・エルノーさんの作品について語ってもらう。
フランスの作家エルノーさんは「場所」「ある女」などで知られ、2022年ノーベル文学賞を受賞。堀さんはエルノーさんのテキストを日本に初めて紹介し、6作品を邦訳したことで知られる。自伝的要素が多いといわれるエルノー作品は、現代の社会問題をとらえている点でも注目を集めている。
堀さんとともに、自由な視点で作家の世界を再発見する試みとなる。