【ぷらっとTOKYO】「蒲田」 撮影所の街は娯楽の宝庫

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蒲田かいわい
蒲田かいわい

 JR京浜東北線・蒲田駅(東京都大田区)のホームに立つと、「蒲田行進曲」が聞こえる。発車メロディーだ。哀愁を帯びた曲が、かつて撮影所があり「キネマの都」と歌われた地の歴史を伝える。駅東口前に広がる街は、温泉やギョーザを楽しめる、庶民にとって娯楽の宝庫だ。(共同通信=藤原朋子)

 戦前、松竹蒲田撮影所で小津安二郎監督らが名作を生み出し栄えた街。再開発された跡地に立つ大田区民ホールには、撮影所の息吹が残る。ロビーに配置されているのは、撮影所正門前の川に架かっていた「松竹橋」の親柱。脇を通り名優たちに思いをはせた。地下1階では撮影所のジオラマを常設展示。屋外撮影に臨む人々がミニチュアで再現され、見入ってしまう。

 繁華街を北へ抜けると、「ゆ~シティー蒲田」の「ゆ」の屋上看板が目に入る。黒湯の温泉が楽しめる銭湯で、全国から温泉ファンが訪れるという。地下約120メートルからくみ上げる湯に漬かれば、足先が見えない黒色の濃さに驚く。

 羽根付きギョーザで有名な「☆(人ベンに欠の人が小)好(ニーハオ)」本店へ。ギョーザを焼き上げる際、水で溶いた小麦粉をかけると、ギョーザの周りに羽根状の薄皮ができる。中国残留孤児だった創業者・八木功さん(88)の思いが詰まっている。

 中国・旅順に生まれた八木さんは戦後、日本人の父と生き別れ、中国で暮らしていたが、79年に永住帰国。日本語学級で世話になった先生たちに勧められ、中国家庭料理の店を開くことにした。ギョーザが大人気となり、店は約40年続く。

 店に飾るのは、開店当初、資金面などで支えてくれた人たちの名前を記したボード。「僕が包むのは、あんに込めた、感謝の気持ちなんです」。その言葉に胸打たれ、肉汁したたるギョーザをじっくり味わった。

 【メモ】駅直結の商業施設「東急プラザ蒲田」の屋上遊園地では「幸せの観覧車」の昭和レトロな雰囲気が「インスタ映え」を狙う人々に好評だ。

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