【東京ウオッチ】渦巻く時代、レンズ通し希望に寄り添う―ハービー・山口さん渋谷パルコで写真展 いまのTokyoをつかむイベント情報(27日~6月4日)

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写真展会場でカメラを手にするハービー・山口さん。後方は1970年の東京で沖縄返還を求める学生デモ(左)、89年のチェコスロバキア(当時)・プラハでのビロード革命前夜の写真=2023年5月、渋谷パルコ(提供写真)
写真展会場でカメラを手にするハービー・山口さん。後方は1970年の東京で沖縄返還を求める学生デモ(左)、89年のチェコスロバキア(当時)・プラハでのビロード革命前夜の写真=2023年5月、渋谷パルコ(提供写真)

 ◎「渋谷半世紀」Sibuyaカルチャー最前線

 【27日(土)】

 ▽「ハービー・山口写真展 『We will be alright!なんとかなるさ。』」(~29日、渋谷区・渋谷パルコ、山口さんのサイン会を27日14時~、28日18時~開催)

 日本を代表する写真家でエッセイストのハービー・山口さんの写真展が渋谷パルコで37年ぶりに開催されている。

 有名アーティストや市井の人々のモノクロ写真を対にして展示している。撮影した年代、国や世代が違っても被写体のしぐさや構図に偶然の「共通点」があるからだ。

 1970年の東京で、歩道橋から撮影した沖縄返還要求の学生デモの風景は、89年にチェコスロバキア(当時)のプラハで共産主義終焉を求めた大群衆と重なる。対の写真から時代を超えた人間の本質が浮かび上がる。

 ウクライナ侵攻や社会格差など不安定な時代を生きる人々への山口さんの思いも伝わる。「皆の明日の幸せを願ってシャッターを押してきた。生きる希望を得られる瀬戸際に僕たちはいるのかもしれない」

 3月に死去した坂本龍一さんの手だけを写した一瞬や、婚約前の無名だった頃のダイアナ元英皇太子妃の姿も捉えている。

 ▽「韓国料理ブランド『bibigo(ビビゴ)』が渋谷に日本初ポップアップストア」(~6月17日、渋谷区・渋谷n_space)

 ▽韓国料理ブランド「bibigo」の日本初のポップアップストアが渋谷にオープンした。「bibigo K―street food popup store」という店名で展開している。

 同ブランドは、酢ドリンク「美酢」、人気俳優パク・ソジュンのCMでもおなじみ。ブランドカラーの緑を基調にした店舗は、Z世代が集う渋谷の中心地でも目を引く。店内は韓国屋台を現代風にして展開。1、2階にイートインスペースを用意し、1階では日本未発売を含めた韓国料理を販売している。おすすめメニューはここでしか食べられないトッポッキや紅茶と果実酢をブレンドした美酢のドリンクなど。

 企画者の中野詩織さんは「渋谷に誕生した韓国の空間を思う存分楽しんでほしい」と話した。

 

 ○そのほかのお薦めイベント

 【27日(土)】

 ▽「MARNI×NO VACANCY INN ポップアップ」(~6月30日、中央区・ドーバー ストリート マーケット ギンザ)

 イタリアのファッションブランド「マルニ」が英国のクリエーティブ・エージェンシー「ノー バカンシー イン」とのコラボレーション商品を発売。そのキャンペーンが銀座で行われている。

 マルニとクリエーターとの創造的交流を目指す企画から生まれた作品が会場に並ぶ。特別なプリントや重ね合わせたパッチワーク、流れるようなシルエットを持つ真夏のイメージあふれるウエア、バッグ、アクセサリーなどが紹介されている。

 キャンペーン写真も、ガーナ人アーティストのデリック・オフォス・ボアテングさんが、ガーナの首都アクラの砂浜を背景に撮影。アートとしてのファッションを楽しめるイベントだ。

 【3日(土)】

 ▽「展覧会『ABSTRACTION 抽象絵画の覚醒と展開 セザンヌ、フォーヴィスム、キュビスムから現代へ』」(~8月20日、中央区・アーティゾン美術館)

 20世紀美術の主要な動向である「抽象絵画」の歴史をたどる展覧会が京橋で開催される。国内外の美術館などからの約250点を全12章で構成。

 セザンヌらの印象派作品を起点に抽象絵画の発生から1960年代ごろまでの展開に着目。フランスを中心とする欧州、米国、日本での動きも知ることができる。抽象絵画に先立つマティスやピカソの作品も紹介する。

 注目は今回一挙に公開される抽象絵画の創始者であるカンディンスキーやクレー、クプカらの初期作品。日本での抽象画の兆しを感じる萬鉄五郎や岡本太郎の絵画にも触れられる。デュビュッフェ、ミロ、マルセル・デュシャンの作品も登場。

 学芸員の新畑泰秀さんは「全展示室を使っての壮大な展覧会で、抽象絵画の魅力に触れてほしい」とコメントした。

 【4日(日)】

 ▽「平和を求め軍拡を許さない女たちの会」(13時30分、千代田区・専修大神田キャンパス、事前予約制)

 法政大名誉教授の田中優子さん、社会学者で東京大名誉教授の上野千鶴子さんらを迎え、平和をテーマにシンポジウムが開かれる。

 2022年に防衛力強化の有識者会議で防衛産業の拡大が打ち出されるなど、登壇者たちは日本が「新しい戦前」に入ったと危機感を抱く。しかし戦前とは違って「女性に参政権がある」現実を踏まえ、ひとり親家庭、非正規労働者など社会的弱者の問題について女性が声を上げることの必要性を話し合う。司会は東京新聞の望月衣塑子さん。

 「安全保障のジレンマ」をテーマにした、東京大名誉教授の藤原帰一さんの講演も。

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