思いを詠み、継いでいく 日本海中部地震と短歌
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40年前のきょう5月26日、本県に甚大な被害をもたらした日本海中部地震が発生した。秋田魁新報には、発生直後から地震を題材とした短歌の投稿が相次いだ。被害の実相を刻み、心を寄せる震災詠は、年月を経た後も詠み続けられ、あの日の惨状や悲劇を語り継いでいる。

地震直後、さきがけ歌壇(読者文芸欄)には、被害を直截(ちょくせつ)に詠んだ作品が寄せられた。 (日付は掲載日)
地震あり村のはずれの六地蔵ひとつは壁にもたれていたり 大森 遠藤イト
(1983年6月14日)
陥没と地割れの宅地に佇みてこの地はなるる決断つかず 男鹿 島寒風
(同7月12日)
ひょうひょうと丸太あまた漂える津波ひきたる雄物川河口 六郷 板谷有記
(同7月26日)
ガス燈の明り頼りて質草を積みにし蔵も地震(ない)に傾(かし)ぎぬ 秋田 加賀谷スミ子
(同8月16日)

歌人の今野寿美(すみ)さん(71)=川崎市=は、2019年5月26日に全県短歌大会の講師で来県した際、その日が日本海中部地震の発生日であることや、本紙に多くの震災詠が載ったことを知った。「社会的惨事を受けた心の声を短歌に託すことは、記紀(古事記、日本書紀)歌謡の時代から東日本大震災まで脈々と行われてきた。日本海中部地震も同じく、その流れの中にあったことに感慨を覚えた」と振り返る。
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