北斗星(9月21日付)
「どうしよう」。空を見上げて思いあぐねた。健康診断を終えて秋田市内の医療機関を出ようとした一昨日の午後のこと。駐車場の車までわずか25メートルほどだが、滝のように激しく地面にたたきつける雨に足がすくんだ
▼しばらくの間、建物の中で待たせてもらい、雨脚が少し弱くなったのを見計らって車まで走った。ハンドルを握って職場に着くまでワイパーはずっと「最速」。川のようになった道路を徐行するしかなかった
▼旧秋田市地域ではレーダー解析で1時間に100ミリを超える猛烈な雨。短時間であっても被害は甚大だった。各地で道路冠水、住宅浸水が確認された。夕方に市内を車で走り、所々に停止した無人の車を見かけたが、一時水没した車だったことは後から知った
▼秋田市を中心に住家9千棟近くに被害が出た7月中旬の記録的大雨に続く水害。一部地域では2度目の被災だ。かける言葉すら失う
▼地球温暖化による気候変動もあろうが、都市化による影響もある。宅地などが増え、保水力のある田畑が減った。排水機能の発達で市街地に降った雨は河川へ一気に流れ込もうとし時にあふれる
▼2度の水害で中心市街地や住宅街の弱点が露呈した。佐竹敬久知事は「復旧にとどまらない流域全体の抜本的な治水対策を早急に行う必要がある」と9月県議会で述べている。十分な対策もなく水害に見舞われ続ける地域で暮らすのは大変なこと。この弱点こそ秋田市が克服すべき最優先の課題ではないか。
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