文芸・文学・出版

「文芸・文学・出版」に関するニュース一覧です。

舞羽優「時空往還―未来故郷のルナ―」(5) 第40回さきがけ文学賞選奨作

 私が動作を終えると、大きく頷き、ニコリと笑ってまた頷いた。

舞羽優「時空往還―未来故郷のルナ―」(4) 第40回さきがけ文学賞選奨作

 不思議なことに、事は寝入ってから起こるのに、寝間着姿で異世界に放り込まれたことは一度もなかった。洋服も着ているし靴も履いているのだ。なのに、手ぶらだった。ならばリュックに必要なものを詰め込んで、背負…

舞羽優「時空往還―未来故郷のルナ―」(3) 第40回さきがけ文学賞選奨作

 友人の遠山が謎に包まれてしまい、アマミというどこか不思議な人物まで出現した今、ここは単なる夢の世界ではなくなっている。必要なのは味方だった。何が起こるかわからない状況の中で、敵をつくってはならなかっ…

舞羽優「時空往還―未来故郷のルナ―」(2) 第40回さきがけ文学賞選奨作

 この旧友の名は遠山といった。高校の頃は目立つ存在でもなく、私同様、印象が薄かった。席が隣どうしだったことから話をするようになり、ともに励まし合いながら受験地獄を乗りきった。

舞羽優「時空往還―未来故郷のルナ―」(1) 第40回さきがけ文学賞選奨作

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描いて縫って変身しバトンをつなぐプロジェクト「物語るテーブルランナー in …

アーティストの鴻池朋子さん(秋田市出身)とハンズクラフト秋田(秋田市大町)の東海林裕子さんが2014年に阿仁合で始めた個人のお話を手芸で作品化する試みは、現在進行形です。鴻池さんとの共著『絵のうら側に…

「内裏は、五節の時期がなんだかほんと、いつも会っている人でさえ特別な感じがし…

清少納言は、最果さんが「百人一首」の歌人の中で、友のように惹かれた人だと言います。「枕草子」現代語訳、第15回は「八十七段」。

猪村勢司「不忍池」(20) 第40回さきがけ文学賞入選作

 紛れもなく、この数ヶ月の自堕落な日々を送ってしまった己に対する戒めであった。

猪村勢司「不忍池」(19) 第40回さきがけ文学賞入選作

「つかぬことを伺うが大助殿、その武助と理無(わりな)い仲(なか)になった寡婦というのは、見目麗しい女子であったか」

猪村勢司「不忍池」(18) 第40回さきがけ文学賞入選作

「出羽(でわ)の田舎兵衛(いなかんべえ)だ。初心(うぶ)なとこありますからね、毒牙にやられちまったか」

猪村勢司「不忍池」(17) 第40回さきがけ文学賞入選作

 荷物の所在を尋ねれば、画室に置いてあるとの由。駆け足で画室に向かう。梯子段(はしごだん)を駆け上がり襖(ふすま)を引けば、見覚えのある風呂敷包が部屋の真ん中に置かれている。急いで近づき結び目を解けば…

猪村勢司「不忍池」(16) 第40回さきがけ文学賞入選作

 屋敷には当主の若夫婦、舅姑、そして大姑(おおしゅうとめ)が未だ健在のいわゆる二人姑(ふたりしゅうとめ)の家で、前任の下女たちが姑たちのいびりに音をあげて屋敷を去っていく中、つせは見事に立ち回り、評判…

猪村勢司「不忍池」(15) 第40回さきがけ文学賞入選作

 なにか嫌な勘が働く。伊八が店にいるか尋ねると、奥で蕎麦の仕込みをしているとのこと。店の敷居を跨ぎ訪(おとな)いを告げた。手を拭き拭きやってきた伊八は、「これは小田野様、ご無沙汰しております」と頭を垂…

猪村勢司「不忍池」(14) 第40回さきがけ文学賞入選作

 戸内へ誘おうとするつせを制し、長屋木戸の方へ目配せをした。

猪村勢司「不忍池」(13) 第40回さきがけ文学賞入選作

「でね、つせさんも方々尋ねて調べ上げたらしく、なんですか、町(まち)狩野(かのう)っていうんですか。新太郎をその町狩野ってところに通わせたいってことで身を粉にして働いてるんでございます」

猪村勢司「不忍池」(12) 第40回さきがけ文学賞入選作

 英名であり情熱的な性格でありながら極度の癇癪持ち、激しい気性と我慢を知らぬ生い立ちである右京大夫様は度々、家中重臣に対して叱咤御免(しったごめん)という処分を下して更迭しており、家中一同恐れをなして…

猪村勢司「不忍池」(11) 第40回さきがけ文学賞入選作

「案ずるには及ばない、勧学屋に迷惑がかからぬよう、しかと目を配らせるつもりでござる。それに画室で一人、絵を描く日々にはもう飽きもうした。新太郎が共に絵を描いてくれるなら、某にも張り合いが生まれるという…

文芸春秋取締役・新谷学さん 「『週刊文春』はなぜスクープを連発できるのか?」…

会員向け記事

 秋田さきがけ政経懇話会の11月例会が13日、秋田市のホテルメトロポリタン秋田で開かれ、文芸春秋取締役で文芸春秋総局長の新谷学さん(59)が「『週刊文春』はなぜスクープを連発できるのか?」と題して講演…

猪村勢司「不忍池」(10) 第40回さきがけ文学賞入選作

「お国はどちらでございますか」

猪村勢司「不忍池」(9) 第40回さきがけ文学賞入選作

 確かに、先生のしたたかな部分は幾度となく目の当たりにしてきた。