
舞羽優「時空往還―未来故郷のルナ―」(5) 第40回さきがけ文学賞選奨作
私が動作を終えると、大きく頷き、ニコリと笑ってまた頷いた。
「文芸・文学・出版」に関するニュース一覧です。
不思議なことに、事は寝入ってから起こるのに、寝間着姿で異世界に放り込まれたことは一度もなかった。洋服も着ているし靴も履いているのだ。なのに、手ぶらだった。ならばリュックに必要なものを詰め込んで、背負…
友人の遠山が謎に包まれてしまい、アマミというどこか不思議な人物まで出現した今、ここは単なる夢の世界ではなくなっている。必要なのは味方だった。何が起こるかわからない状況の中で、敵をつくってはならなかっ…
この旧友の名は遠山といった。高校の頃は目立つ存在でもなく、私同様、印象が薄かった。席が隣どうしだったことから話をするようになり、ともに励まし合いながら受験地獄を乗りきった。
アーティストの鴻池朋子さん(秋田市出身)とハンズクラフト秋田(秋田市大町)の東海林裕子さんが2014年に阿仁合で始めた個人のお話を手芸で作品化する試みは、現在進行形です。鴻池さんとの共著『絵のうら側に…
清少納言は、最果さんが「百人一首」の歌人の中で、友のように惹かれた人だと言います。「枕草子」現代語訳、第15回は「八十七段」。
荷物の所在を尋ねれば、画室に置いてあるとの由。駆け足で画室に向かう。梯子段(はしごだん)を駆け上がり襖(ふすま)を引けば、見覚えのある風呂敷包が部屋の真ん中に置かれている。急いで近づき結び目を解けば…
屋敷には当主の若夫婦、舅姑、そして大姑(おおしゅうとめ)が未だ健在のいわゆる二人姑(ふたりしゅうとめ)の家で、前任の下女たちが姑たちのいびりに音をあげて屋敷を去っていく中、つせは見事に立ち回り、評判…
なにか嫌な勘が働く。伊八が店にいるか尋ねると、奥で蕎麦の仕込みをしているとのこと。店の敷居を跨ぎ訪(おとな)いを告げた。手を拭き拭きやってきた伊八は、「これは小田野様、ご無沙汰しております」と頭を垂…
「でね、つせさんも方々尋ねて調べ上げたらしく、なんですか、町(まち)狩野(かのう)っていうんですか。新太郎をその町狩野ってところに通わせたいってことで身を粉にして働いてるんでございます」
英名であり情熱的な性格でありながら極度の癇癪持ち、激しい気性と我慢を知らぬ生い立ちである右京大夫様は度々、家中重臣に対して叱咤御免(しったごめん)という処分を下して更迭しており、家中一同恐れをなして…
「案ずるには及ばない、勧学屋に迷惑がかからぬよう、しかと目を配らせるつもりでござる。それに画室で一人、絵を描く日々にはもう飽きもうした。新太郎が共に絵を描いてくれるなら、某にも張り合いが生まれるという…