
ヘミングウェイが描いた戦争の内奥(中尾信一) 暴力は時に「宿命」として
第1次世界大戦を舞台としたアーネスト・ヘミングウェイの小説『武器よさらば』(1929年)は、イタリア軍所属のアメリカ人フレデリック・ヘンリーと、戦場での負傷で入院した彼を担当するイギリス人看護師キャ…
ウクライナの平和が脅かされて1年半がたちました。古今東西、平和への思いと戦時の世の中はどのように表現され、語り継がれてきたのか。人々は和平をいかに実現してきたのか。秋田大学で文学や芸術、歴史や哲学を担当する教員がシリーズで論じます。
第1次世界大戦を舞台としたアーネスト・ヘミングウェイの小説『武器よさらば』(1929年)は、イタリア軍所属のアメリカ人フレデリック・ヘンリーと、戦場での負傷で入院した彼を担当するイギリス人看護師キャ…
中国の歴代王朝にとって、最大の外交課題は北方にあった。モンゴル高原は世界有数の遊牧の適地で、古くから強大な遊牧国家が成立した。中国の王朝は経済・軍事・外交のあらゆる手段を投入し、遊牧民の侵攻を防ごう…
ジャンヌ・ダルクは英仏百年戦争(1337―1453年)において、神と祖国フランスのために勇敢に戦った人物といわれる。その彼女が、なぜ平和について考える本連載に登場するのか。
イギリスの作家ヴァージニア・ウルフは1882年生まれ。文芸評論家の父を持ち、自身も物書きになったが、目まぐるしく変化する人間の内面世界を難解に描いた一方、2度の大戦が勃発した激動の世紀にあってジェン…
敗戦後の日本は、「平和憲法をもつ文化国家」として歩み始めた。その日本国憲法第14条第1項は「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関…
戦争との対比において平和を言祝(ことほ)ぐとき、そのイメージは「勝利」や「解放」のそれであることが多い。あたかも殺戮(さつりく)や抑圧に抗(あらが)い、それらを乗り越えた先に、平和があるかのようであ…
「日本語は調和と共感(欧米語は主張と対立)の言語」だと言われることがある。これを聞き、如何(いか)にも合点がいくという人は少なくないだろう。確かに、言葉は人と人を結び、関係づけるものであるために、人…
いまから20年前の2003年3月20日、「テロとの戦い」の一環として、ジョージ・ブッシュ政権下のアメリカは英国などと「有志連合」を組み、イラクに侵攻した。
日中戦争のさなか、満洲(まんしゅう)国で女優や歌手として活動した李香蘭(りこうらん)は、そのエキゾチックな容貌や美しい歌声により絶大な人気を博した。流暢(りゅうちょう)な中国語を話すことから、広く中…
騎馬武者から逃げ惑い、倒壊した建物に押しつぶされる女房たち。武士に首を切り落とされ晒(さら)される男性貴族。『平治物語絵巻』「三条殿夜討巻(院中焼討ノ巻)」に描かれた戦場の一場面は、都に暮らす貴族た…
平和とは何か。辞書を引いてみると、「戦争や紛争がない状態」と定義されることが多い。しかし、この定義の背景には、どのような前提があるのだろうか。ここで少し立ち止まって、「平和」の意味を再考してみたい。
1945年8月15日、日本の降伏で第2次世界大戦は幕を閉じた。しかし、日本占領地インドネシアにとって、終戦は、独立に向けた「革命戦争」の幕開けであった。
水都と称される都市は多いが、ヴェネツィアに比類する場所はどこにもない。干潟上の都市という特別な地理的環境、島々の上に建つ宮殿や教会、無数の橋、迷路のような路地。「いとも晴朗なる(ラ・セレニッシマ)」…