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岩手県大槌町で公開授業 NIE全国大会

大槌で頑張っている人たちの記事を読み、共通点を探す子どもたち=7月27日、岩手県大槌町の大槌学園

 新聞を教育に生かす「NIE」の全国大会が7月26、27日、岩手県盛岡市と大槌町で開かれました。被災地の大槌町にある義務教育学校「大槌学園」では6年生の総合学習の公開授業などが行われ、子どもたちがふるさとへの思いについて話し合いました。大会では参加者による大槌町の視察も行われました。

 大槌町は2011年3月11日の東日本大震災による津波で大きな被害を受け、住民の1割に近い1200人以上が亡くなりました。6年生の子どもたちが、まだ幼児の頃でした。クラスには震災で家族を失った人もいます。発生から7年余り、町は今も、復興の途上にあります。

 そんなふるさと大槌のために、頑張っている人たちがいる―。新聞記事でそのことを知った子どもたちは、次のようなテーマで話し合いました。「大槌で頑張っている人たちの『共通点』は何だろう?」

 津波で父を亡くし、自宅や船を失いながら、地元の中学生たちの応援によって再び漁を再開した男性。父の遺志を継ぎ、子どもたちに空手を教える女性。亡くなった妻を思いながら展覧会を開く画家…。記事では、さまざまな人が紹介されています。「まずは、この人たちに共通する『苦労』を探してみよう」と担任の多田俊輔先生。

 子どもたちは記事を読み返しながら、「震災で大切な人を失っている」「家族を失った悲しみは消えない」などの共通点を挙げました。「大槌のために何かしたい、でも自分が学んできたことや、やっていることは役に立たない、と落ち込んだ」という共通点も見つけました。

 「じゃあ、この人たちに共通する『願い』って何だろう。活動に共通点はある?」と多田先生。子どもたちは「つらい思いをしたけど、大槌が好きだから努力しているところが同じ」「悲しみを笑顔に変えようとしている」「支援してくれた人に恩返ししている」と共通点を挙げました。

 記事が描く、一見バラバラに見える人々。しかし授業の最後、子どもたちはそこに大きな「共通点」を見つけました。それは「今、自分にできること、自分にしかできないことを頑張っている」ということです。

 夏休み明け、子どもたちは「大槌で頑張っている人」の記事に思いを書き添えて、「大槌希望新聞」を作ることにしています。「みんなにしか作れない新聞にしましょう!」。多田先生が呼び掛けました。

 【大槌町】太平洋に面し、古くから漁業や水産加工業が盛んです。しかし、町は2011年3月11日の東日本大震災による津波で壊滅的な被害を受け、全住民約1万6千人の1割に近い1200人以上が亡くなりました。町は復興を進めていますが、現在の人口は約1万2千人で、震災前より2割以上減っており、人口減少対策が大きな課題となっています。

(2018/08/05 秋田魁新報掲載)