[第1回]

過去との対話で見えてくること

(2017年4月14日 掲載)
カッパの供養塔がある秋田市四ツ小屋の神明社

価値があるのは昔のモノだけなのか?

 私は20代前半から世界各地の民族に伝わる手仕事に憧れ、アジア、アフリカを中心に旅をしてきた。多いときには1年のうち3分の1は旅に出ていたり、辺境地帯にまで足を延ばすと1カ月近く秋田の家を留守にしたりすることもあった。

 最近は海外へ行く機会が減り、年に1、2度、それも短期間の出張ばかりである。情勢不安や物価の上昇が主な理由だが、急激なグローバル化の影響でモノや人との刺激的な出会いが減ってしまったことも大きい。今やインターネットや携帯電話が普及し、大量生産された衣料品や生活道具が世界のあらゆるところに出回っている。その結果、工芸品は「昔ながらの手仕事」という付加価値を最初から意識して作られた商品になってしまった。