
昭和34(1959)年、35年と、のど自慢の東北大会で2年続けて敗れた俺に、次兄の常雄は「このへんで区切りをつけたらどうか」と言ったんだ。悔しかったな。常雄は親身になって助言してくれたんだと思うけど、芸で生きていくしかないという気持ちが固まっていた俺にすれば、引くに引けなかった。
- (1)土地の記憶、歌い継ぐ2016年3月7日
- (2)最初の記憶は養子話2016年3月8日
- (3)電気のない村だった2016年3月9日
- (4)山村ののどかな終戦2016年3月10日
- (5)習わぬ「追分」を歌う2016年3月11日
- (6)滝温泉が原点だった2016年3月12日
- (7)初めて見る海に感動2016年3月13日
- (8)原風景には馬がいる2016年3月14日
- (9)「若勢」で母の実家に2016年3月15日
- (10)最初の賞品は自転車2016年3月16日
- (11)次兄が民謡日本一に2016年3月17日
- (12)巡業公演で文無しに2016年3月18日
- (13)都会の洗礼を受ける2016年3月19日
- (14)誰にも告げずに上京2016年3月20日
- (15)運命変えたあの電話2016年3月21日
- (16)舞台に立つ喜び実感2016年3月22日
- (17)チップが月給超えた2016年3月23日
- (18)念願のレコード発売2016年3月24日
- (19)尺八の大家に親近感2016年3月25日
- (20)冷房で商売道具が…2016年3月26日
- (21)常連の手引きで移籍2016年3月27日
- (22)才能豊かで控え目で2016年3月28日
- (23)兄と慕う人去り帰郷2016年3月29日
- (24)秋田初の三味線教室2016年3月30日
- (25)県外の民謡をやろう2016年3月31日
- (26)プロ集団、五星会船出2016年4月1日
- (27)メンバーは多士済々2016年4月2日
- (28)興行はいつも大盛況2016年4月3日
- (29)いつかは自分の家を2016年4月4日
- (30)テレビの影響力知る2016年4月5日
- (31)長寿番組の「常連」に2016年4月6日
- (32)生活のため教室再開2016年4月7日
- (33)功績残し五星会解散2016年4月8日
- (34)宗家に就任、各地奔走2016年4月9日
- (35)ファンの裾野広げた2016年4月10日
- (36)芸の道は因果な商売2016年4月12日
- (37)要職に就き融和図る2016年4月13日
- (38)民謡の隆盛、もう一度2016年4月14日
- (39)兄がいて、いまがある2016年4月15日
- (40・完)死ぬまで「民謡一筋」2016年4月16日